第54話 スカイバードくんの新しい名前と箱庭の整備

 アンデットたちの戦いから数日後、俺は箱庭の中の整備をすることにした。


 現在の状況の把握と、従魔が増えることを想定して中の確認をして行く必要がある。




 まず、今あるのは畑、小屋、川、池、海、温泉、鉱山それに果実の木バナーナとリンゴだ。リンゴは最初の時植えたのがリンゴの木に成長していた。




 リンゴの木の上にはスカイバードくんが巣を作っている。


 なかなか箱庭の中も充実してきている。




 小屋の地下にはオレンジアントたちが作成したダンジョンがある。




 現在ダンジョンは1階層を横に広げていっていた。




 保存食や毛皮を乾燥する部屋にスカイバードを除く各従魔の部屋などが作られている。そのうち、ドモルテとララの部屋もオレンジアントが作ってくれるとのことだった。




 研究室にするから、広めになんて言っていたので危なくないように壁は厚めに作ってもらおう。




 これから更に地下室は増やしていくとの話だがオレンジアントたちは本当に優秀すぎる。




 ただ、俺としては、できれば地上にも、もう一軒家を建てたい。


 最初の時には小屋を選択したが、自分たちでできるものはどんどん自分たちで建てていった方がいい。




 それに、やっぱり日の光が当たる部屋でゴロゴロできるのは最高だと思う。




「ガーゴイルくん、パトラ、小屋の横に家を建てたいんだけどできる?」


「パパーできるよー」


「家ですか。材料があればなんとかなると思います」




 建築作業に関してはこの2人に任せておけば大丈夫だろう。


「何が必要だい?」




「まずはチヨウシノ村から王都へ行く途中で刈り取った木が欲しいですね。材木はここでは採れないので。オール石という選択もできますが。パトラちゃんは?」


「うーんとねー。土台の石は作れるけどー窓の材料が欲しいかなー。あとは私も木があれば作っていけるかなー」




 それからガーゴイルくんとパトラが一緒に家を作る相談をしてくれている。


 小屋の横にきちんとした家を建てて、そこで寝泊まりできるようにしよう。




 あとは……耕されて畑になっている部分に野菜の種を植えていく。


 今回植えるのは大豆、小豆、それにじゃがいも、キャベッツ、人参、にんにくだ。




 大豆を使って味噌と醤油という東国にある調味料を作ろうと思っている。


 今ある調味料でも十分美味しいのは美味しいが、自家製で色々な調味料を作れるようになると、さらに料理の幅が広がる。




 食べる物は身体を作る基本だからな。


 みんなにも身体にいい物を食べさせてあげたい。




 俺が畑で野菜の種を植えているとスカイバードくんが水の瓶を持って飛んできて、俺の頬に瓶を押し当てた。かなり冷たい。




「ありがとう」




 そう言えば、スカイバードくんに名前をつけてあげようと思ってそのままだった。




「スカイバードくん名前は何がいいだろうね?」




 頭の中に一瞬でてきたのは、焼き鳥だった。


 いや、焼いちゃダメだな。




 それか……ササミ……ボンジリとか……美味しいそうだけど……可哀想か。


 一回食べ物から離れよう。




 俺の考えを読んだかのように、スカイバードくんの目が怖い。


 ちょうどそよ風が頬にあたる。




 ブリーゼとかどうだろうか?




 それかソニック。うーん可愛くアネモイちゃんとか?




 スカイバードくんが空を見上げる。


 その時、頭の中に閃く。


 そうだな……シエルとかどうだろうか?




 うん。それがいい。


「スカイバードくんシエルって言うのはどう?」




 スカイバードくんは嬉しそうに大きく頷いている。


「よし、今日からシエルだ。改めてよろしくな」




 シエルが俺の肩に止まり、頬をすり寄せて巣の方へ飛んでいった。




 うん。可愛いな。




『何か手伝うか?』


 シエルと入れ替わるようにラッキーがやってくる。




「そうだな。せっかく海ができたから魚を養殖したいんだけど、ラッキー海は入れるのか?」


『舟なら乗れるぞ。お風呂以外では水に入るのは好きじゃないな』


「そうか。じゃあ畑を作り終わったら一緒に海に行って釣りでもするか?」


『あいよ』




 それからラッキーは俺が畑に種を埋めるのを見ながら大きなあくびをして横になっている。


 途中でオレンジアントたちが鉄鉱石を持って、小屋の横に行き早速土台のようなものを作り出していた。




「パパーDくんが畑手伝いたいって言ってるんだけどいい?」


「あぁいいぞ!」




 いまだにオレンジアントくんたちの見分けがつかない。


 武器を持ってくれると区別つくんだけどな。




 オレンジアントDが俺のところに来て一緒に種を植えてくれる。


 いやー戦闘中とは違ってチョコチョコ動く姿が可愛いな。




「パパー! あとねー。鉱山から鉄鉱石が採れるから、Cが武器屋で見た鍛冶をやってみたいんだってー。家を作るついでに鍛冶場も作っていいー?」




「あぁもちろんいいぞー! 好きなものを作るといい」




「ありがとーパパー」




 オレンジアントくんたちも、かなり個性がでてきている。


 できる限りやりたいって思っていることをやらせてあげたい。




 俺とオレンジアントDは一緒に野菜の種を植え、他のみんなもそれぞれ作業をしてくれた。


 俺が途中で休憩をしていると、今度はドモルテがやってきた。




「本当にここは驚くな。空があってきれいな水があって……」


「すごいだろ」


「あぁ本当に。長生きはするもんだと思ったよ。ここに座ってもいいか?」




 ドモルテは座ってもいいかと聞いておきながらそのまま座ってしまう。


「いいって言う前に座ってるじゃないか」




「細かいことは気にするな。私のようなものを受け入れてくれる器量があるんだから。それより私も何か働きたいんだが、何かないか?」




「それなら、海水を沸騰させて塩を作ってくれると助かる。保存食も作っておきたいんだ。あと、時間ができた時にでもパトラに魔法を教えてやって欲しいんだけどできるか?」




「あぁ、もちろんだ。パトラは優秀だからな。魔法が使えればもっと戦力になる。ただし、私の教えは厳しいぞ」




「あぁ、パトラなら大丈夫だろう」




 ドモルテはリディアに向かって使った獄炎の館という魔法を使って塩を作っていた。


 過剰な火力な気がするが……まぁ本人が疲れないならそれでいいだろう。




 そのうち箱庭の中で釣りをしたり、みんなが遊べる施設も充実させるぞ!


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少しでも面白ければ♥よろしくお願いします。


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