DAY 38-3

「光、魔法?」

「そう! 闇魔法と対を成す光魔法、それは、私たちレグメンティア人には扱う事の出来ない、唯一無二の属性⋯⋯!」

「凄そうだな」

「凄いなんてもんじゃないよ! だってそもそも魔族が扱えるような代物じゃないし、今この世界に使える人がいたとするなら、それは⋯⋯始空神しくうしんでもないと使えないんだ」

「始空神⋯⋯?」と、頭を傾けて悩むベレス。

 アンジェはすぐに知識を披露してくれました。

「始空神エルクリア・ヴェスペリウス。。創世録に記載されて当然の最高神」

「ああ⋯⋯確かに、一番最初に見た名前かも知れない」

 記憶の片隅に置かれた創世録の中身を引っ張り出し、納得出来たベレス。

 そのまま、アンジェの言葉を紡ぎ、話しました。

「始空神はレグメンティアを創ると同時に、善悪平等に生物を存在させ、均衡そのものも生み出した。しかし悪の増値によって崩れてしまった均衡の乱れを正す為、始空神はこの世に後に勇者と呼ばれる存在を生み落とし、世界を渡り歩かせ、成長を見守った」

 そこまで言い終えると、今度はアンジェがベレスの言葉を紡ぎました。

「最後には勇者は他種族を束ねるまでに至り、闇に君臨せし魔王を、その者達と共に討伐せん。それが創世録の大まかな内容。そして恐らく勇者を生み出した時に扱ったとされるのが、原初の光魔法。分かるか? ベレス、お前の持ってる力が⋯⋯物凄いって事が⋯⋯!」

「そう言われると、凄いな」


「だろぉー!? なあ、早速練習しようぜ! それで何が出来るのか、わたしも早く見てみたいんだよ!」

 アンジェは前のめりに、目を輝かせながらベレスの言葉を待ちます。

 そんな眩しい視線に、ベレスが勝てる道理もなく──

「う、うん。やってみようかな⋯⋯」

 と、まずは光を絶やさぬ様にする練習をアンジェの隣で続けてみるのでした。

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