第4話 変化

 まだ、化け物は見える。だが、不思議と化け物という概念はなくなっていた。寧ろ、人間と同種、または、それ以上の存在なのではないかとも考えた。人種を超えた、つまりは、未来の人間。そうとらえることもできるのではないかと。

「もし、そうだとしたら、今の人間はどうなっちまうんだろうな」と、ぼやいていると、前来た警察の人が来た。

「気分はどうだい?」と、質問した。

「別に、普通ですよ。でも、変わったことが少しありましたかね」と、返した。

「ほう、その変わったことについて伺ってもよろしいかな?」と、警察は興味津々に僕に聞いた。

「いいですよ。暇つぶしにはなりそうですし」と、言って、私は話し始めた。

「まず、前提として、薬はやってないですよ。前回調べたときにわかってると思いますが。では、話しますね。私は、気分が高揚しているんですよ。最初は、ただ不気味で嫌な存在だったはずのあいつらがなぜか、今となっては自分たちと近しい存在だと考えるようになりました」

「近しい存在というと?」

「人間の弱みとでもいうんでしょうか。人間って誰しも欠点はありますよね?それをどうとらえるかは人によって異なります。善し悪しがあるんですよ。それを具現化したような感じです。そして、それを欠点だと思い込み、視認する。といった感じです」と、説明した。警察は、意味が分からないような顔をしていた。当たり前だ。この人にあれは見えていない。

「つまり、あれです。自分に欠点がないと思っている人は、見えないで、あると思っている人は、見える。って思ってください」と、言った。

「私には、欠点がないと思っているというのかね?」と、また質問された。

「最初に言いました、欠点がないとは思ってないです。それを、悪いと思っているから見えるということです。あなたには、欠点があり、だが、それを悪いと思っていない。だから、それを見ることはできない。ということです」と、私は、捕捉し、警察に説明した。すると、理解したのか、笑い始めた。

「はっはっは、なるほどな、確かに、俺にも欠点はあると思う。なんならある。だが、俺はそれを乗り越えてきたからこそ、俺がいるんだ」と、言った。

「ですよね。欠点が昔あった。というより、今もあり、それをバネに、頑張った。すごいと思いますよ。尊敬します」と、警察の人をほめた。すると、顔を急に赤くし、照れ始めた。多分、人に褒められるのに慣れてないのだろう。そうして、警察の人は、そそくさと部屋を出た。

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