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「シャル!!」

 吹き飛ばされるシャルを見て、ラアラはひどく焦った。スキルを使えない様子のカイルと、劣勢に立たされたシャル。このままでは、ひょっとすると負けてしまうかもしれない。このパーティが負けることなど、今までに一度もなかったのに。

 ……仕方がない。こうなったら、あの魔法を使うしかない。古代よりこの地に伝わった、真の攻撃魔法。相手にこの上ない絶望を送る、最強の一撃。

「ポーイノ!!」

 禍々しい暗黒が空を覆い、敵に向かって襲い掛かる。逃れることのできない、闇からのいざない。闇属性としては、最強ランクの技だ。


 「フーラリ」

 ――敵はすっと左手を差し出し、短い魔法を唱えた。それはかつて滅んだはずの魔法。光属性を得意としていた古代のとある一族の、究極にして鮮明な反撃魔法だった。

 今では見ることもできない古の魔法陣が浮かび上がり、彼はラアラの暗黒魔法を全反射する。どれほど強い力を持った魔法でも、全てを弾き返す魔法陣の前では全くの無力。ラアラは自らが放った最強の攻撃を、なんと自分自身で受ける羽目になってしまった。

「そんなっ――」

 「ありえない」。そう叫んだ頃には、彼女の体は永劫の闇によって散りぢりになった。高火力な魔法がぶつかり合う戦闘では、その死体すら残らない。

 

 

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