美少女な生徒会長の先輩に「妹にしてくれ!!」と告白された件について

夜月 秋朝

第1話 告白された件について

 夕焼けの光が差し込む学校、生徒会室で美少女な会長と二人っきりの俺、まさにこれこそが告白の王道シチュエーション!!


さぁ、いつでも来い!!


「私、・・・私を―――――――」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「これで、今週の生徒会会議を終わります。お疲れさまでした。」


「「「お疲れ様でした。」」」


俺、矢吹陽斗やぶきはるとはどこにでもいる普通の高校生だ。・・・なにか一つ変わったところをあげろと言うなら生徒会に属しているという些細なことくらいだ。生徒会なんて、ほとんどの生徒がめんどくさいと言ってやらない。俺だってその一人だった。


しかし、何故か、いつの間にか生徒会選挙に立候補され、演説までもさせられてしまった。俺が気づいた時にはもう時すでに遅し、立候補を棄権することもできず、しぶしぶ演説をし、ほかにやる生徒もおらず、そのまま、生徒会役員になってしまったわけだ・・・。


しかし、そんな生徒会にも一つだけ入ってよかったと思うことがあった。それは!!・・・生徒会長がめっちゃ美人な先輩だったということだ!


会長である白金皐月しろがねさつき先輩は俺の一つ上の先輩だ。文武両道で才色兼備、黒い髪をなびかせ、会長として俺たち生徒会役員をまとめ上げている。いわば先輩は会長になるべくしてなったといっても過言ではない人物だ。まさに、ザ・生徒会長だ!!


まだ、入学したばかりで、しかも無理やり生徒会に入れられた俺に親身になってくれる先輩の一人だ。だから、生徒会役員の皆も白金先輩を信頼し、頼りにしている。やっぱり、クラスとかでも人気者なんだろうな~。


おっと、そんなことを考えているうちに会議が終わってしまったか。今日は、早く帰れそうだな。


俺のほかの生徒会役員の先輩方も帰りの支度をすまし、一人、また一人と生徒会室を出ていく。


「お疲れさまでした。」


「あ、矢吹くん。少しだけ残ってくれる?」


「あ、はい。分かりました。」


帰り支度をすまし、生徒会室を出ようとしたが会長に止められてしまった。なんだろう?まだ、生徒会も始まったばかりでさらには、1年生という俺には仕事という仕事をやらさせてくれてないしな・・・。何もやらかしてないと思うんだけどな・・・。


それから、部活をしていた生徒たちが帰宅し始めたころ、会長の仕事も終わったようだった。


「待たせて、すまなかった、矢吹くん」


「いえ、大丈夫ですよ・・・それで、あの、どうかしたんですか?」


「あ、えっと・・・どうかなと思って、生徒会の仕事は?」


「うーん、・・・なんとかやってるって感じですかね」


「そう、か・・・。君はまだ1年生だというのに生徒会に入りたいという子は初めてだったからな。少し心配でな・・・」


俺だって、やりたくてやってるわけではないんです。先輩・・・って言える空気でもないし、ましてや、入ったのだから、最後までしっかりとやるつもりだ。


それにしても先輩、俺のことを心配してくれてたのか?・・・でもそれだけで引き止めたりするかな?


歯切れが悪い返答に、少しだけ違和感を覚えた気がした。


「・・・えっと、もう遅いですし、帰りましょうか」


「ちょ、ちょっと待って!!」


「せ、先輩!?」


先輩は帰ろうとした俺の腕を力強く掴み、俺を引き留めた。


「ど、どうしたんですか!?先輩?」


先輩は何故かもじもじとし、顔を赤らめ、今から告白をするかのような乙女の顔をしていた。まぁ、元から乙女だけど・・・


ま、まさか告白!?まだ、知り合って3カ月も経ってないぞ!?でも、先輩のこの顔、この声色、このシチュエーションどれをとっても今から告白するようにしか思えないぞ!!・・・・ゴクンッ!?


「・・・・よし。」


先輩は覚悟が決まったのか、俺の手を放し、俺と目を合わせてきた。


来るのか!?よし、恋!!いや違う、来い!!


「あの、もしかしたら矢吹くんを困らせるかもしれないけど―――」


「ドンと来いですよ!先輩!」


「分かったわ。なら矢吹くん・・・・私、・・・私を・・・・矢吹くんの妹にしてくれ!!」


来た!!高校に入ってからの初めての告白イベント!!早い気はするが全然―――――――――――ん?今の告白の内容、変じゃなかったか?


幻聴かと思い、もう一度聞いてみることにした・・・。


「・・・先輩、もう一回だけ言ってもらってもいいですか?」


「え、えっと・・・だから、私を矢吹くんの妹にしてほしいの!!」


幻聴じゃ、なかった・・・・・てか、なぜに妹?










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