6.みこ様にとっての初夜♡

 浴室のドアが開き、バスタオルを巻いたみこが入ってくる。

 温かいお風呂に入れて、肌が艶々つやつやになったようでご機嫌である。

 バスタオルを巻いているものの肩がむき出しになっていて、お風呂から出たてということもあり、ほんのりと赤くなっているのが、何となく艶めかしい。

 髪もまだ乾かしてないようで、しっとりと濡れていて色っぽく見える。

 それに足も太もも付近まで露わになっていて、さらにエロい…。

 ちょっとでも気を抜いたら、鼻血が出そうだぜ!


「お先に入らせてもらったぞ…。お主も入って疲れを癒すと良い」

「あ、ありがと…」

「ん? どうした? なぜ、妾と目を合わせぬ…。お主、何か悪いことでもしたのか? もしかして、妾がお風呂に入っている間に、下着でもクンカクンカしたのか?」

「そんなことしないよ! ボクのこと、どういう風に見てるんだよ!」

「いや、まあ健康男子なら、そういうことをしてもおかしくはないかとは思っておっただけじゃ…」

「健康男子であっても、それは犯罪です!」

「えっ!? そうじゃったのか!? そ、それは考え方を改めねばならぬのぉ…。雄一に妾のパンツを匂われても…べ、別に構わぬがな…」

「いやいや、そんなこと大々的に宣言されてもできないよ。逆に思わないって何で!?」

「そ、それは…。妾が…お主の…げ、限定カノジョだからな…」


 いやいやいや…。限定カノジョでもそれはやらせすぎだろ!

 サービス精神旺盛な如何わしいお店かよ!

 ボクは再び彼女のつややかな姿態したいに目を奪われてしまう。

 その瞬間、ボクはみこと視線が重なってしまった。

 彼女はそれを知って、ニヤニヤし始める。あ、これはマズい。


「どうした…、雄一? 妾の身体に何かついておるか? まあ、ついているといえば、立派なお胸がここについておるがな…」


 みこはニヤニヤしながら、ボクを見下ろすような姿勢で胸をムニュムニュと揉みながら訊いてくる。


「そういえば、ブラサイズを測った店員が言っておったのぉ! 妾はGカップだそうじゃ♪ まあ、妾にはそれがどのくらいなサイズなのかは知らぬがな」


 いや、それは犯罪級の胸の大きさだと思いますよ。

 ムニュムニュが気になって、みこの胸ばかり見てしまう。

 ボクだって、健康優良児なんだよ!


「どうしたのじゃ…。妾の胸が気になるのか?」


 今度はみこはボクの横に腰を下ろす。

 ふんわりと石鹸のいい香りが漂う。

 下からボクを覗き込むように上目遣いでみこは攻めてくる。


(ぐぬぉあぁぁぁぁぁぁぁぁ……)


 おかげでバスタオルからこぼれそうなほどのたわわな胸が目の前に迫ってくる。

 ゴクリ……。


「どうじゃ…? 妾のGカップのおっぱいは? いつでも飛び込んできていいんじゃぞ? 妾はカノジョじゃなからな…」


 限定カノジョです。

 それと本気の恋愛したらダメなんでしょ!


「妾のこのマシュマロおっぱいを触りとうないのか?」

「そんな言葉…なんで知ってるの?」

「下着を購入した若い女の店員が妾の胸を揉みながら言っておったぞ。こういう柔肌の胸のことを言うらしい」

「店員め…。余計なことを教えやがって…」

「これを武器に、彼氏を誘惑しちゃえば良いと言われたから…今、やっておるのだぞ!」


 んぬぬぬ………。

 みこは顔はロリで、スタイルはグラドル顔負けのようなロリ巨乳だ。

 しかも、タオルからしか分からないけど、腰もしっかりとくびれているアイドルのような体型だ。

 それがボクの目の前に迫ってきている…。

 ボクの心拍数は上昇中だ。

 きっと限界値を超えたら、鼻血ブーッで倒れるだろう…。

 ゴクリ…………

 思わず唾を飲みこんでしまう。


「チッ…。さすがに、雄一はまだ妾に手を出さないか…。ならば、妾が本当の意味で一肌脱いでやろう!」


 みこはスクッ!とボクの目の前で仁王立ちし、自分のバスタオルを勢いよく剥がそうとする!

 そうはさせまいと腕を伸ばすボク。

 ボクの目の前でプルンッと胸が弾む!

 ――――――!?

 遅かったか!?


「なーんてな! 妾がお主に裸をまだ見せる気はないのぉ…」


 フフフと意地悪く微笑んだみこのバスタオルの下には、チューブトップのブラとショートパンツが履かれていた。

 みこの余裕の表情はそのあとすぐに崩れることになる。

 バスタオルを剥がすのを止めようとしたボクの手がそのまま、彼女の右胸に鷲掴わしづかみにしてしまった。


「き、貴様~~~~」

「こ、これは事故だ~~~~~~~~~!」

「ならば、さっさと手を離さないか!!」

「あっ!? ご、ごめん!!」

「許さぬ! 怒りの鉄拳―――――――――っ!!」


 ゴメヅッ!!!


「んぐぅ!」


 みこの放った右ストレートはボクの頬を完全にとらえた。

 床にボクは倒れ込み、だんだん意識が遠のこうとしている…。


「妾の身体をもてあそぼうとは、100年早いわ!

 て、雄一!? おいっ!! 大丈夫か!? おい! おい……」


 みこが気を失いかけているボクに気づいたころには、ボクは意識の深い底に到達しようとしていた…。



 ボクがゆっくりと目を覚ました時、自分が最初どこにいるのかわからなかった。

 だって、そこは真っ暗な場所だったんだから。

 ただ、布団を被っていることからそこが自分のベッドであることは容易に気づけた。

 横を見ると、枕を抱きながら静かな寝息を立てるみこの姿があった。

 その寝顔を見ると、ドキッとさせられる。

 さっきのお風呂上がりの時の艶やかなJKという感じよりも、もう少し幼い感じだ。

 何だか、自分がお兄ちゃんになったような感覚にさせられる。

 でも、その顔を見ても、月見堂で出会った頃のドキドキはもうしない。鼻血も出ない。気絶することもない。


(ボクって状況に慣れるの早いのかな…)


 決して、みこに魅力がないわけではない。

 顔だって十分すぎるほど可愛い。失礼な話だけど、氷山高校1年の中でも1、2位を争えるような可愛らしさがあると思う。

 でも、何でだろう。

 変な話だけど、みこといることに安らぎや落ち着きを感じているのかもしれない。

 でも、まだそうなのかすら分からない。

 何なんだろう…、この感情は。

 すごくモヤモヤした霧に包まれたようなよく分からない。もとい、経験したことのない感情のような気がする。

 そこで、ボクはふと気づいた。

 ボクがパジャマを着て、それにお風呂にも入った形跡があることに。


(もしかして、気絶した後にみこがやってくれたの?)


 それ以外方法がない。

 わざわざ彼女はボクの義理の母親に電話するとも思えない。

 そんなことしたら、同居している自分が何なのかの説明から全てしなければならず、ややこしくなることこの上ない。

 やっぱり、みこのやっていることは無茶苦茶だ。

 ボクを凶器のお胸で誘惑させておきながら、で胸に触れてしまうと右ストレートで制裁を加えるという何とも勝手すぎる。

 その反省が少しはあったのかもしえない。

 どうしてかボクはそんな彼女に対して、気持ちを許してしまう。

 

「むにゃ…お主はバカじゃなぁ…むにゃむにゃ…」


 みこの寝言に思わずボクはフッと笑ってしまった。

 みこは優しい寝顔のままだ。


「そうだね…。ボクはバカかもしれないな……」


 そういうと、ボクも再びベッドに潜り込み、深い睡魔に身を任せた。

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