第三話 エターナル第一層

 エターナルとはこの世界で【永遠】を意味する言葉である。

 この名が授けられたこのダンジョンは文字通り永遠に続くダンジョンだ。

 更に言えばこのダンジョンは未だに誰も発見したことが無く、勿論未踏である。

 それでいて難易度は最難関である。


 「うわああああああああああああああああああ!」


 俺は現在トラ型の四足歩行のモンスタースーパータイガーに追いかけられている。

 咄嗟にあった岩陰に隠れる。


 「はあはあ……冗談じゃないぞ。死ぬの確定だ」


 俺はボロボロの布の服を着て岩陰で身を潜めている。

 そしてモンスターがいなくなるのを待つ。


 「ステータスオープン」


 俺は自分のステータスを確認する。


 ステータス

 名前【レイン】

 年齢【15歳】

 レベル【1】

 HP【100】

 MP【50】

 攻撃力【10】

 防御力【10】

 俊敏【10】

 魔力【10】

 幸運【1】

 固有スキル【経験値0】

 装備

 武器【なし】

 防具【なし】

 アイテム【なし】

 お金【0ガルド】


 くそやはり何も変わらねえ。

 バグって何だよ? ふざけるな女神が。


 「俺の人生散々すぎるだろ」


 外れスキル【経験値0】とかいう糞スキルを授かり、実の両親から罵倒され実家から追放され、幼馴染のメンバーからは無能だと言われて追放されて、おまけにこんなダンジョンなんかに放り込まれて。


 「俺が何したって言うんだよ」


 俺は小言で文句を言う。

 だが死ぬのが怖かったので死にたくはなかった。

 だから自殺という考えは至らなかった。


 「取り敢えず喉が渇いた。水が必要だ」


 俺は水源がある場所を探して走り回る。

 しかし水などどこにも存在しなかった。


 このままじゃ不味い。HPが0になる。

 経験値どころの話じゃない。

 俺はHPを確認する。


 HP【50】


 もう半分に減っていた。

 体力がなくなるスピードが異常に速い。その理由はここが猛暑だからだ。


 ガルルルルルルルルルルルル。


 「うわあっ!」


 俺の目の前にトラ型の四足歩行のモンスタースーパータイガーが牙を剥き出しにしながら涎を垂らして俺の前に立ちはだかる。

 最早逃げようがなかった。

 俺は死ぬのか、嫌だ死にたくない。

 そう思った時、俺は必死で道に落ちている石を投げた。

 しかし勿論効果が無い。


 「がああああああああああああああっ!」


 俺は腕を噛まれる。

 噛んだスーパータイガーは気まぐれかすぐにどっかへ行った。

 腕から出血する俺はステータス値を必死に確認する。


 ステータス

 名前【レイン】

 年齢【15歳】

 レベル【1】

 HP【10】

 MP【50】

 攻撃力【10】

 防御力【10】

 俊敏【10】

 魔力【10】

 幸運【1】

 固有スキル【経験値0】

 装備

 武器【なし】

 防具【なし】

 アイテム【なし】

 お金【∞ガルド】


 もう駄目だ。HPが10しかない。

 死ぬんだ。そう思った時、ある項目が可笑しい事に気づく。

 あれ? お金が無限になってる!?

 若しかしてこれがバグか!?


 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 俺は気合を振り絞ってそう叫んだ。

 まだ死ねない。こんな所で。

 俺は自分のボロボロの布の服で止血する。

 

 「ここから出るんだ」

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