第15話 レイナ15歳(後半)

『天使の羽』のメンバーはレイナがハミルトン侯爵の娘である事は全く知らなかった。

それは、3年前にロクサーヌからの個別依頼で見習い冒険者を鍛える依頼で、その時は登録名がライナで本名はレイナである事は知っていたのだが、家名だけはロクサーヌから聞いていなかった。

『天使の羽』のメンバー全員、レイナが何処かの貴族の娘かまたは有名な冒険者の子供だと考えていた。

しかし、本当は領主の娘で騎士学校での通り名『高速姫』と呼ばれている『剣聖』である事にとても驚いていたのであった。


『レイナって。あの『高速姫』である『剣聖』様だと思わなかったよ』

メイがメンバー代表してレイナに話をかけた。


「ごめんね。メイ。これはお父様との約束なの」


『それで、領主様の言う通りにこの国を出るって事ね?』


「うん。あのバカ子爵との結婚しなくなって良かった。本当は冒険者をしたかったんだ。お父様はそれを見越して言ってくれたみたい。これからもよろしくね。メイ」


『分かった。だってレイナ....いやライナは『天使の羽』のメンバーだからね?』


「嬉しい」

こうして、レイナは来週の誕生日を迎える事になる。



レイナの15歳の誕生日は、ハミルトンの街を上げてのお祭り騒ぎになっていた。

領主宅にはハミルトン侯爵とレイナ、それと天使の羽のメンバーとギルドマスターのロクサーヌ。そして、ハミルトン侯爵を支えている商人や貴族達がレイナの誕生日を祝ったのであった。


次の日、レイナがハミルトンの街を出て行く日である。

レイナは冒険者用の服装に身に着け、街の入り口に待っているメイ達の所に向った。


「おまたせ」


『おお。結構早かったな? ライナ』


『いつもなら遅く来ているのに珍しい』


『そう言う、ソフイもいつもより早起きで私、雨が降ると思っていたわ』


『なんだとう! リンダ!』


『何だとは何だ!』


『何だとは何だとは何だ!』


『いい加減にしなさい! リンダ! それとソフィ!』


「あははははは」


『『『ライナああああああ!』』』


メイ達と楽しく話しているレイナを見てダグラスは喜んでいた。


(これなら、レイナも楽しく出来るはずだ......。)


「それではお父様。行って来ます」


『レイナ。元気でな』


レイナが馬車に乗ろうとした時、ダグラスはレイナにある言葉を言うのであった。


『レイナ』


「はい」


『セシル=ガイアスは生きている。絶対に見つけろ!』


「え?」


『だから、セシルは生きているって言ったんだ!』


(嘘.......あのセシルが生きているって.....本当に?)

レイナは心の中でセシルが生きている事に驚いていた。


「わかりました! 絶対に見つけます!」


そう言ってレイナの乗った馬車はハミルトンの街を出発していったのであった。


〇〇〇〇〇〇


レイナ達がハミルトンを出て1週間が経過していた頃、魔の森の中心に魔物使いゲドンがある人物と会話をしていた。


「ドライセン様」


『ゲドンよ。魔物を封じた水晶はどうなった?』


「はい。約30万の魔物を3万ごとに一個の水晶にして、王都に4個。ベルスタに1個、他の主要都市に各1個を渡し完了しました。」


『そうか。実は、ナンバー4の命令でハミルトン侯爵を我が支配下にしろと言う指令が出た。』


「そうでしたか。ハミルトンには元々渡す予定でしたが、領主が断りを入れましたので一応保留にしていました。」


『それで良い。ハミルトンにはナンバー3の『博士』とナンバー6の『獅子王』が来るみたいだ』


「なんと! ナンバー3とナンバー6ですって!」


『なんでもハミルトンの娘をにする為に行くみたいだ』


「そうでありましたか」


『そこで、ゲドン。一年後に水晶を破壊しろと命令が明日に変更しろと命令が下った。俺の所がシルベルタ王国を支配下になったので予定が早まった』


「次はミッドガル王国ですね?」


『ミッドガルには壊滅していただこうと上からの命令だ。ミッドガルが壊滅したら残りの国は降伏すると思われるのでそうなった』


「それでは、明日の12時丁度に水晶を壊して、魔物の襲撃を致しましょう」


『よろしく頼む。ゲドン』


「はい。ドライセン様」


ドライセンの連絡が終わってゲドンは笑いながら


「やっと。俺の出番が来たぜ! 明日は大きな花火が出そうだ。あはははは」


ゲドンは明日の準備をしているのであった。



○○○○

その頃、レイナ達はハミルトンを出て港街のルーベルトに到着した。

港街ルーベルトはハミルトン侯爵の領地の一つである。

そこから船に乗ってカレディア王国に行く予定である。


「メイ。それで私達の乗る船は?」


『確か、8番倉庫に用意していると聞いているわ』


「それじゃあ。その倉庫に行きましょう」

レイナ達は8番倉庫に向って行くと、小さな船が一隻あるだけで他には何もなかった。


「まさか....この船?」


『どうだろう? 確かジョニーって言う人がいるって聞いたのよねえ』

メイがそう答えるとリンダが赤くなって叫んでいた。


『ジョニーって....なんでこんな所にあのオカマがいるのよ!』


『リンダ。知っているの?』


『知っているのでは.....』

リンダがジョニーの事を話すと後ろから髪の長い男がリンダに抱き着いてきた。


『リンダちゃあああん!待っていたわあああ!』


『おい! 放せえええええ! このオカマ!』


『連れないのじゃないの? 貴方と私の関係は』


『キモイから。離れろ!』

リンダから離れたジョニーはレイナ達に声をかけた。


『え~と。メイちゃんとソフィちゃんとライナちゃんで良いのかしら? 初めまして私の名前はジョニーと言うわよん。リンダちゃんの幼馴染なのよ?』


「なんで?を付けているのかわからん」


『何でお前が其処にいる?』


『だって。この船、私の船で『ジョニーちゃん1号』で~す。ちなみに私の職業はカレディア王国唯一の他国専用商人でありますよん。ハミルトンのギルドマスターのロクサーヌちゃんに頼まれて用意したのですわん』


「ロクサーヌ様が?」


『ええ。一番早い乗り物で来て欲しいって言ってきたからね。もう既にロクサーヌちゃんは中に入っているから』


「「「「ええええええええ!」」」」


『さあさあ。中に入って』

ジョニーに勧められたレイナ達は船内に入ると其処にはロクサーヌが笑って待っていたのであった。


「ロクサーヌ様!」


「おお! ライナ。待っていたぞ」


「これは.....どういう事ですか?」


「私も一緒にカレディアに行くからだよ。実はのうカレディアに戻って来いって言われてのう.....ハミルトン侯爵に許可をいただいて此処にいる訳じゃ。私は奥様に雇われる前はカレディア王国で宮廷魔導士だったのよ?」


「そうでありましたか.......」


「ジョニーの父親とはミッドガルに向った時に知り合って、リンダはジョニーの幼馴染であったのか?」


『はい.....』


「そろそろ時間だ。おい。ジョニー。出発じゃあ!」


『はあい。此処からカレディアの港町カーレルまではこいつで2日で到着しますわん』


『.....オカマ。その言葉やめええええ!』


『リンダちゃん。照れないで.....では行きます!』


『照れてないわ!』

リンダとジョニーの漫才を見ながらレイナ達はカレディア王国の港街カーレルに向けて出発したのであった。



その次の日が、ミッドガル王国の壊滅する日を迎える事になるとは、レイナ達はまだ知らないのであった.....。




~作者より~

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