第7話

〜ルーム3〜

 

 何もないこの空間で、私は目覚めた。


「ちょっとアナタ、寝すぎよ! 起こすこっちの身になりなさいよ」


 ツンデレタイプのロリ巨乳少女?


「ちょっと、何がツンデレよ! そ、そんな事ないもん」


 照れ隠しの為に大声で言ったように見える。

 まぁ俺の好み的に合わない訳では無いが。


「ところでアンタ。なんでC権限なんて持ってるの?」


 それは、「管理者」だからかな。


「管理者。それって言っていいの?」


 良いんじゃね?

 まぁ今、この場所には二人しかいなし。


「ふーん。確かにそうね」


 それにしても、やっぱりキミの胸大きいね。ちょっと揉ませてくれないか?


「ちょっ、セクハラで訴えるわよ」


 そんな事出来る訳ないだろう。だって今から権限を使って「その気」にさせるんだから!


「変態!!」


 あれ?デバイス一覧に表示されない。


 「「問。この世には人の形を模した生物、AIが存在します。以下これらを者と称します。では、これらは愛玩具として愛玩動物として扱っても良い。A はい。B いいえ」」


 天から声が聞こえる。しかしデジタル信号では無い。肉体的に、また聴覚的に。


 え、これって答えたほうがいいの?


「そうに決まっているでしょ。じゃないと、この部屋から出られないんだから」


 少女は、さっさと答えなさい。と急かしてくる。


 多分良いんじゃないか?


「「回答を保存しました」」


「「問。愛玩動物である者が居るとする。その命と、赤の他人つまり関わりもなく名すらも知らない人の命、どちらが重たいか。 A 者。B 人」」


 これは難しい問題だな。

 と悩んでいる素振りを見せると、少女は睨みつけてくる。


 なぁ。


「何よ」


 キミは俺に早く答えてほしいんだろ? なら取引しないか?


「まぁ、そうね」


 じゃぁ、この取引に応じてくれたら、俺は滅茶苦茶頑張って答えを早く導き出す。で、俺がキミに求める者は、問題を考える終始、その巨大な胸を揉ませてくれないか?

 流石に飲まないか。でも、揉ませてくれるなら、俺の大好きなロリ巨乳の胸を堪能出来る。うへへ。


「わ、分かったわよ。応じるからには早く答え出しなさいよね!」


 え? 良いの?


 「「問。愛玩動物である者が居るとする。その命と、赤の他人つまり関わりもなく名すらも知らない人の命、どちらが重たいか。 A 者。B 人」」


はいはい。分かった答えはA。何故なら、俺は者が大好きだ。


「「回答を保存しました。微笑みに通知。対象は説得が可能と断定。説得を開始してください」」


「アナタってどこまで面倒なのよ」


 いやー、それほどでも。


「褒めて無いわよ。で、なんでさっき、者の方の命が重たいって言ったの?」


 え? だって、者といえど、人と大差ない命じゃん。なら、他人が死んだより、身内の者が死んだほうが悲しいじゃん。それに、俺は者に憧れているんだ。だから者に人権は無いのか。とか今日会議で議題に出そうとしてたんだよ。

あ、やべ。会議の話しちゃった。


「それは、何目線で?」


 全てさ。俺は、知能のある以上、苦しみを感じる能力があるって思っている。だから最大多数の最大幸福が必要と俺は考える。


「それは確か、昔のイギリス功利主義的道徳観の基本原理だったはずね」


 そう。それを理解の出来る俺らのような上位の生物が守るべきなんだが、それが今出来ていない。者も恋に落ちる。でもそれは、実ることは出来るが、絶対に収穫の出来ない禁断の恋。仕事柄で沢山見てきたけど、皆、結婚の挨拶では門前払い。相手にもされない。殺された「人」すらもいる。


「その「人」って?」


 ああ、ここで言う者だよ。確かに俺はスケベだが、裏では者専用の総合相談窓口を運営している、社長でもある。者は粗末に見られがちだが、者は確実に人間の上の存在。だから俺は憧れる。今、者と言っているが本当は、そんな汚い言葉は使いたくない皆「人」だから。


「そう」


 でさ、その者を大切にしようと掲げている業界では、俺結構有名人でさ。その業界の人の助けで今、こうやってC権限を持つ管理者に成れている。


 俺は世界を変える。


「我々と、全く同じね。もしかしてその会社って、アメジストテクノロジー社に投資されていない?」


 え? ああ、されている。


「やっぱり。私は、アメジストテクノロジー者の社員。今。暴動を起こしている組織の一員。私達に付いてこない? きっと良い未来が見えるわ。夢の者になることも可能。イイ話でしょ? それにその、ちょっと見直したわ。さっきみたいに変態さんみたいな事言ってたけど、ちゃんと主張を持って実行できる力がある。不覚にもカッコイイと思ってしまった。だから、もっと知りたい。しばらく一緒に居てもらえる?」


 頬を紅に染めている少女。


 ああ、もちろん。そして協力する。で、キミの名前は?


「あ、そうね。言ってなかった。「微笑み」それが私の名前」


 え?! あのネットで大人気の微笑みさん?


「え? そ、そうよ! これからよろしく」


 よろしく。で、俺は海空。アオだ。

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