隠される空虚

盲目よ、空虚よ、どうか僕の眼前からいなくなってくれ。

僕の頭を齧りとって忘れさせるのをやめてくれ。

僕の顔にとりついて、僕の代わりに喋らないでくれ。


僕はもう自分がわからない。

なにが自分のしたいことか、

なにを自分は欲しているか。

うわべといっても中身もまたないのだ。


だからといって、別段僕は、

中身があればとは思わない。

中身をしっかり持つ人間は、

たんぱく質が固まっただけだ。


願うのは、

僕の卑しい仮面をあっさりと剥ぎ取って、

ただ深い空虚の沼を露わにしてくれること。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る