宗教化

わたしが死んだそのあとに、

わたしの思いを偽るなかれ。


かれこそ神と触れ込むなかれ。

わたしはただの人間だった。

なんの力も持たなかったが、

言葉ばかりは達者だった。


わたしの言葉は記憶のなかで、

光をまとって泳ぐのだろう。

誰かの道を照らすのだろう。

それを胸から取り出すなかれ。


わたしの死を死と受け入れよ。

勇気や救いと名付けるなかれ。

あなたはそう夢見てもよい、

まことしやかに語るなかれ。


わたしの預かり知らぬ時代に

わが偶像をわたし自身に

取り替え飾るものあれば

即刻壊してしまいなさい。


夢を夢ともわからないまま

夢の世界はわかるまい。

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