蜜柑畑の唄

蜜柑畑の唄。


風は軽やかに、

しかし脚の姿はとらずに、

木々をすりぬけて土を越えゆく。


なにか金属を執拗に擦る音。

使い捨ての布が

真っ黒になるまで

めっきを剥がすだけの遊び。


液晶に爪が当たる音。

けだるいリズムに

感情が阻まれていく。


君は仕組みを持っている。

だがおあいにくさま、

私は魔法を持っているのだ。


蜜柑畑の唄。


タテとヨコが入れ替わっても、

蜜柑畑はそこにあります。


それはあなたがないと言っても――

私に見えればそれでいいのです。

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