第5話 双子の少女

「ふむ、つまり君は占いの館に行き、前世の記憶を見た後、前世の姿になっていた。そして幼馴染は勇者と魔王、と君はミミックになったとうのか」

「そうです。そう通りです」

「ふむ今までにない現象だ。それにしても君の身体は面白い。箱は鉄でも金でも銀でも木でもない、今この世界の存在する鉱物には何一つ適合しない。99.999%未知の成分で出来ているようだ」

ガラスを境に喋り合うミミックと白衣をきた女性。俺はこれからの現状を聴くと、監視対象として安全が確認できるまでは、研究所からは出られないようだ。


それもそうか。俺も自分の力がわからない。


ふと幼馴染はどうしているか気になった。


「幼馴染はどこにいるんですか?」

「幼馴染というのは、黒陽マオと星月ユウイのことかな?天童エイトくん」

「イエス」

白衣をきた女性に話を聞くと俺が好きで好きでたまらないマオちゃんの行方はわからないらしい。空を飛んでいたくらいだからなぁ。

さすがマオちゃん!国家権力から逃れるとは!さすがだね!


次に星月ユウイのことだが、昏睡状態でピクリととも動かないらしい……同じ研究所にいるため、面会が許された。なんでもガレキに押し潰されそうなっていた2人の少女を助けたそうだ。慈悲深い。


ゴロゴロゴロ

俺は動けないために台車に乗せされて移動している。移動している最中には、暴れ回るイノシシや棺に入ったまま動かないミイラが見えた。あれも元人間なのだろうか?


まあいいや。よくないけど。俺には確かめる術はないのが現状だもの。ここは研究者に任せよう。俺はユ台車の乗せられたままユウイがいる部屋に入った。


ユウイは眠っている。寝息は待ったなく、生きているのかもわからない。いや、胸が上下した。心臓が動いている証拠だ。体温があるのか確かめたいけど、ミミックになってしまった。俺には手がない。


「おおい。ユウイ、ちょっくら目覚めてくれんかねー」

「うぅ……すうー」

ダメか。どうすればいい。そう困っていると目の前に小さな顔が見えた。顔の上には耳が生えていた。耳!?尻尾も生えているが、毛深くはなく耳と尻尾以外は前世が半獣人だったのかな、モフモフしたい。にして小さいな。ミミックになった俺よりは大きいけど


「おっほん。君達は何者だね」

「うーんとね。サクラ」

「と、モミジ、私達は2人で1人の双子、あなたはだあれ?」


「サクラちゃんとモミジちゃんか。俺の名は天童エイト。元人間だ!」

「嘘つけ」「嘘に決まっている」

サクラちゃんとモミジちゃんが、バシバシと叩いたり蹴ったりしてくる。痛くはないが、否定されると心が痛くなる。


「本当だよ」

「じゃあ、私達の質問に答えろ」「答えろ」

「なんだ?」


「クエっチョンワン、パンはパンでも食べられないパンは?」「パンは?」


「フライパン」

「なかなかやるな」「やるな」


「では次だ。クエっチョンツー、ジャパンで一番高い山ははどこにある?」

「富士さ……確か……」

日本で一番高い山は富士山だが場所か、どこだっけ?

「日本人なら、答えられてありまえだぞ」

「だぞーー」

「思い出した。静岡県と山梨県の間だ」

「むむむ」「むむむ」「「正解」」


「ではラストの問題。ふとんが吹っ飛んだ。どうやって?」 


どうやって?なんでふとん吹っ飛ぶんだ?

なぜだ?……なぜ……なぜ……なぜ……

「わからないようだな」「だな」

「時間はあと10秒だぞ」「だぞ」

10……9……8……と時間制限で圧迫してくる双子の少女。こうなれば実力だ。


俺は空気を大量に吸い込み。ユウイにかかっている、ふとんが目掛けて空気砲を発射する。結果ユウイにかかっている、


ふとんが吹っ飛んだ。


「答えは、俺が吹っ飛ばす」

どうだよ言わんばかりのドヤ顔をして、双子の少女をチラリと見る。少女達はあわあわと狼狽えている。


そして俺の方を見た。

「……元人間と認めてやろう」「……やろう」

「そういえば聞きたいことがあるんだ。ユウイが助けたのは君たちか?」

「ユウイお姉さんの仲間?」「なのか?」

「イエス、幼馴染」

「幼馴染」「なじみ」

「「いいね」」

双子のは少女から晴れて元人間と認めてもらうことに成功した。してもユウイの奴いつまで寝ているなんだ。


「おーい、ユウイ起きろー」

「はーい」

ユウイは目をパッチリとひらき起きた。反応速度が速すぎる。


「起きてるんかよ」

「ふふふ、起きてないとでも思っていたのかい、なあに周囲の様子を眺めていただけどよ。エイト、僕の心配をしてくれてすごーく嬉しいよ」

怖い。幼馴染が目が怖すぎる。まるで飢えた狼のような目だ。その目が俺を捉えている。


ああ、マオちゃんや。助けてくれや。

縋りつく思いでもう1人の幼馴染の名を呼んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る