第6話 おまけ

飯田さんが二次創作を書いてくれました。

本編より、こっちに載せますね。

内容的に。

飯田さん、ありがとう。


――――――――――――――――――――

 ある朝。

 ブレサルがノートを見つけてきた。


「これ、母さんの……」


 ノートを開く。

 それは間違いなく、シャロールの字だった。



 これは特別な日のためのレシピです。特別な日以外作っては、いけません。特別な日、は特別な日です。特別にしましょう。

 そういうわけで、レシピです。


 一、まず、リンゴを切ります。皮をむくのです。

 二、リンゴを切ります。サイコロみたいにしてください。

 三、玉ねぎを切ります。皮は剝いておいてください(剝きすぎないでね!)

 四、芋を切ります(芋の芽を切り取るのを忘れずに!)

 五、鍋にバターを入れます。溶かします。

 六、玉ねぎを、入れます。色が変わるまで炒めましょう。

 七、芋とリンゴ(全部入れちゃだめだよ!)を入れて炒めます。

 八、水とコンソメを入れて、芋が柔らかくなるまで煮ます。

 九、佐藤を呼びます。「滑らかにならない!」

 十、牛乳を加えてひと煮たちさせます。

 十一、塩コショウで味を調えます。

 十二、サイコロにしたリンゴを乗せて、シナモンをふりかけます。

 十三、佐藤が「美味しい!」と言えば完成です。



 シャロールがたまに作っていたリンゴスープのレシピだった。ところどころに僕の名前が出ているのがおかしい。思わず笑ってしまう。

 そう言えば、何だか分からない液体を前に「滑らかにならない!」なんて言わされることがあったな。あの時は何をやっているのか分からなかったけど、その後に何やら美味しそうなスープが出てきたから、きっと料理をしていたんだと思っていたけど……十三個も工程があるものを作っていたのか。


 そもそもリンゴをスープにしよう、という発想が面白い。彼女らしい。好きなものを入れたスープは美味しいんじゃないか、なんていう発想なのかも。頬を緩ませながら僕はブレサルに告げる。


「なぁ」

「ん?」

「今日は特別な日だよな?」

「特別な日?」

「ああ」

 僕は笑顔を向ける。

「レシピが見つかったんだ」



 一、まず、リンゴを切ります。皮をむくのです。

 二、リンゴを切ります。サイコロみたいにしてください。

 三、玉ねぎを切ります。皮は剝いておいてください(剝きすぎないでね!)

 四、芋を切ります(芋の芽を切り取るのを忘れずに!)

 五、鍋にバターを入れます。溶かします。

 六、玉ねぎを、入れます。色が変わるまで炒めましょう。

 七、芋とリンゴ(全部入れちゃだめだよ!)を入れて炒めます。

 八、水とコンソメを入れて、芋が柔らかくなるまで煮ます。

 九、佐藤を呼びます……僕が作るから呼ばなくていいけど……「滑らかにならない!」

 十、牛乳を加えてひと煮たちさせます。

 十一、塩コショウで味を調えます。

 十二、サイコロにしたリンゴを乗せて、シナモンをふりかけます。

 十三……


「美味しい!」

 ブレサルが喜んだ。

「懐かしい! これ昔作ってたやつだよね!」

「そうだよ」

 僕もスープを飲む。

「……美味しい」


 これでスープは、完成。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る