第4話 イケメンナイトと一緒に住むことになったよ。

 『ミッションコンプリート!』


 相生そうじょうくんの横でずっとフワフワういているあおみどり色のイルカがさけんだ。

 三人さんにんとお父さんは、ハイタッチをしてよろこんだ。


「ミコちゃん、いま、鏡からだすね♪」


 わたしに変身していた風水ふうすいくんがニコニコしながら、モニターごしに話しかけてきた。


「♪金箔金きんぱくきん! したから読んでも金箔金きんぱくきん! ごめんね♪」


 わたしに変身していた風水ふうすいくんは、リズムにのって、まるで呪文のような、アニメのエンディング曲のような言葉を歌うようにくちずさみながら、シャキンってキメポーズをとった。


 わたしに変身していた風水ふうすいくんは、光につつまれた。

 とたんに、あおみどり色の部屋がきえた。そしてわたしは、うす暗い夜の未神楽みかぐら神社に立っていた。

 目のまえに、カワイイ巫女装束みこしょうぞく風水ふうすいくんが立っていた。


「おつかれさま。つかれてない?」


「え? わたし、鏡の中でおうえんをしていただけだよ?」


 わたしが首をかしげながら答えると、相生そうじょうくんがおおきく首をふった。


「とんでもない! 僕たちナイトがあやつる三種の神器じんぎは、ミコ様の神通力じんつうりきで動いているのです。ミコ様がいてこそのナイトです!」


 え? どういうこと??


「そして、未神楽みかぐら先生もお見事です。神器じんぎに頼ることなく、これほどまでにすばやく正確に、納音術なっちんじゅつをお使いになられるとは」


 え?? どういうこと????

 あと『なっちん』?? ってなに??


 凪斗なぎとくんが相生そうじょうくんの話にのっかった。


「本当。アレがないとヤバかった。先生の足どめがなかったら、気合だけじゃどうしようもなかった」


 風水ふうすいくんものっかった。


「そうそう。剣の蓄積ちくせきタメージをコピってピッタリ、トラ鬼をやっるけれるダメージにコントロールされてあったもん。計算されつくされててスゴイです♪」


 お父さんは、テレテレしながら頭をかいた。


「いやー、それほどでも?」


 頭がグルグルしてきた。なんにもしてないわたしと、なんだかしょぼいサポートをしてたお父さんが、すっごくほめられてる??


 ほんとうに、どういうこと????


 頭がグルグルする。でも足はフラフラしない。今日はもう、鬼はおそってこないのかな?


 テレテレと頭をかいていたお父さんは、急にシャキンと大人の顔になった。


「もう、九時をとっくにまわっている。こどもは寝る時間だよ。布団ふとんはもうしいてある」


「はい!」

「はーい♪」

「まだ眠くないよ!」


 相生そうじょうくんと、風水ふうすいくんと、凪斗なぎとくんは返事をした。三人とも、すっごく性格がでてる。でもって……あれ?


 お布団ふとんをしいている?


 お父さんはすっごく真面目な顔をしていった。


「三人は、今日から未神楽みかぐら神社に住んでもらう。ミコのナイトだからね」


 え?? どういうこと????


 相生そうじょうくんがマジメな顔をしていった。


「ミコ様には、指一本ふれさせません」


 風水ふうすいくんがニコニコしながらいった。


「ミコちゃん! これからよろしくね♪」


 凪斗なぎとくんが、気合の入った顔をしていった。


「ミコ! オマエはおれまもってまもってやる!」


 え? わたし、きょうから三人といっしょに住むの??


 クールで知的なメガネイケメンの相生そうじょうくんと、女のよりもかわいすぎる男の風水ふうすいくんと、力持ちで、足もめっちゃ速そうなイケメンの凪斗なぎとくん、三人のイケメンといっしょに住むの?


 ひょっとして、恋愛占い当たってる? 今月の山羊座やぎざの恋愛運は最高っての当たってる??


「えっと……よろしくね」


 わたしは、せいいっぱいカワイらしくみえるように笑顔をつくってほほえんだ。


「さあ! あいさつもすんだことだし、こどもはもう寝る寝る!」


 お父さんは、ちゃんとシッカリ大人らしくいった。魔法……じゃない納音術なっちんじゅつ? は、しょぼいけどちゃんとシッカリ大人らしくいった。


 わたしは、お家に帰って自分の部屋に入った。そして、お布団にもぐりこんでから、とっても大事なことに気がついた。


「ああ! おまいりしてない! イケメンの彼氏ができますようにって、神様におねがいをしていない!」


 せっかくの一年に一度のチャンスだったのに……わたし、本当におっちょこちょいだ……うううぅ……本当に不幸だ。

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