第14話 ドンの来賓

ホームパーティーから3日後。かみさんが仰々しく家を飾り立てている。ドン ペリニヨンやテンダーローイン、その他、一流レストランで出てくるようなコース料理を作りだした。おい、今日は何か記念日だったかな?思い当たる節が無い。19時。重低音のエンジン音を響かせながらロールスロイスのリムジンが玄関前に停まった。運転席から男が降りてリムジンの最後尾の扉を開いた。オーダーメイドで仕立てたと思われる上等なスーツを着込んだ55くらいの圧倒的存在感を放っている男が降りてきた。俺は窓からポカーンと口を開けて見ていた。かみさんが言った。「あんた、ボケっとしてないで玄関でお待ちするんだよ」俺は言われた通り玄関でその男を待った。呼び鈴が鳴った。いつになく上品な口調でかみさんが言った。「ようこそ、汚い我が家にお出でくださいましたわ、コステロさん」こんなかみさんの喋り方を初めて聞いた。コステロ?どっかで聞いたような名だな?コステロ?コステロ?コステロ?ハッ!!!フランク コステロ!この街のヤクを牛耳っているマフィアのドンだ。「やあ、ベティ、今日はお招きいただき光栄だよ」「こっちは亭主のジェイソンです」コステロが「やあ、ジェイソン、よろしく」と言って右手を差し出してきた。「は、は、は、初めまして」俺は、おどろおどろ両手で差し出された手を握り返した。かみさんがドンを誘導してドン ペリニヨンを薦める。「早速だが私も忙しいんでね。本題に入ろう。キロ55万ドルでどうだね?これでも良心的な相場だと思うんだがね?」「コステロさん、ありがとうございます。感謝申し上げます。手始めに1kgを取引させていただきたいのですが」「解った。明日、下の者に届けさせよう」5分程、かみさんとドンは談笑してドンは帰った。かみさんはヤクの密売にも手をだそうとしている。ハッ!合点がいった。この前のホームパーティーは顔を売る為に催したんだと…

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