第7話 デートのお誘い?②

部活を終えてシャワーで汗を流した後、僕は春香姉に指定された裏庭のベンチへと向かった。

春香姉はまだ来ていない様だ。


2人きり・・・何だか緊張するな。

っていうか成海の奴、春香姉に何て言って時間作って貰ったんだ?

あいつ、今日の練習は僕とメニューが別だったから話するタイミング無かったし。

ちなみにうちの部活は体育館を広く活用できるようにと日によって部員を2チームに分けた練習メニューをおこなっている。

僕は体育館で練習だったけど成海達は基礎連ということでランニングや河川敷での筋トレ主体のメニューだった(結構きついし長いんだよね。。。)


ということで、成海達はまだ戻ってきていないのでスマホにメッセージは送ったけど春香姉との約束の方が早くなりそうなんだよな。


「大丈夫かな・・・変な頼み方してなきゃいいけど」


何となく不安な気持ちを持ちつつ指定のベンチに座っていると少し遅れて春香姉がやってきた。僕を見つけて慌ててるみたいだ。


「ゴメン!待たせちゃったかな?練習が長引いちゃって」

「あ、大丈夫だよ。僕も今着いたばかりだから」

「うん。でも私が呼んだのに」


そんなに慌てなくても大丈夫なのに部室から走ってきたのか、少し息を切らしている。ちょっと顔も上気してて何だか可愛い♪って年上に失礼か?


「それより、用事って・・・」

「あ、ごごめん。

 そうだよね。うん。え~と」


どうしたんだ春香姉。いつもと雰囲気違うというか歯切れが悪いな。

それに目も合わせてくれないし、さっきよりも更に慌てた感じで顔も少し赤い。

そして、そんなやり取りが続いた後、意を決したような感じで話し出した。


「あ あのさ・・・睦月君」

「はい」

「あ あしたって・・・その時間あるかな?」

「明日?」

「うん。明日」


明日は春香姉をデートに誘おうとは思ってたけど・・・それ以外は。

っていうか、話の流れからして、春香姉が僕をデートに誘おうとしてる?

そんな夢の様な・・・じゃなくて、今日は僕が春香姉を誘うって決めてたじゃないか。だったら今が誘うチャンスだよな。

よ よし!


「時間は・・・うん。大丈夫だけど・・あの「ほんと!!じゃあさ」」

「ううん」


誘おうかと思ったら春香姉が満面の笑みで言葉を被せてきた。

な なに?


「私とリバーランド行かない?」

「へ?」


先に誘われちゃった。

昨日色々とイメトレしたのに。

それより、春香姉もリバーランド?

僕が驚いて呆けていると春香姉が心配そうな顔で覗き込んできた。


「だ 駄目かな?」

「だ 駄目じゃないです!むしろ喜んで!!」

「ありがとう♪」

「いえいえ。こちらこそ?」


変な返事をしてしまったけど、安心したのか僕を見て微笑む春香姉はいつもにも増して可愛く。

反則だよその笑顔。


「弥生に相談したときは多分大丈夫って言われたんだけど・・・睦月君が私なんかとじゃ嫌かなと思って「い 嫌だなんて!その僕も春香姉をデートに誘おうかと思ったんだから!!」」


そんな。嫌なわけないじゃないか。

僕だってずっと春香姉の事を・・・思わず大声で叫んでしまった。


「ふぇ?私を?デート?誘う?へ?」

「あ!?」


勢いで言っちゃった・・・。

春香姉も赤い顔しているけど多分僕の顔も真っ赤だ。


「そ そうなんだ。睦月君は私をデートに誘ってくれる予定だったんだ」

「あ あの今のは・・・その」

「ふ~ん。そうなんだ♪」


春香姉。凄く嬉しそうだ。

あぁもう昨日のイメトレは。。。

でも喜んでくれてるみたいだし良かったのかこれで?


「真紀子の言う通りだったな」

「真紀子?」

「あ、副部長の由良真紀子だよ。彼女にも相談してたんだクラス同じで仲いいし」


・・・あ、女子バス副部長の由良先輩か。

弥生姉とも仲いいよな。前にうちにも遊びに来てたっけ。

ちょっと気が強そうな感じの人だったけど美人さんだったよな。

ってそんなこと今はどうでもいい。

何を相談してたんだ?


「そ そうなんです?」

「うん。気になる幼馴染と・・・もう少し仲良くなりたいなって」


まさかの恋愛相談?

それに"気になる幼馴染"って・・・もしかして僕?

春香姉が僕ともう少し仲良く?え?本当?夢じゃないの?


「あ あのそれで由良先輩はなんて?」

「"私の見立てでは幼馴染君も同じような気持ちだと思うから大丈夫だよ"って」


由良先輩ナイスアシスト!!

だとすると朝、春香姉が僕に声掛けた後で囲まれてたのはそのせいか・・・っていうか女子バスみんなが知ってるって事?


「そ その・・・由良先輩のおっしゃる通りかと思います」

「そ そうなんだ。その・・・ありがとう」

「い いえ・・・」


春香姉の顔をまともに見えない。


「・・・」

「・・・」


その後、覗き見していた由良先輩と女子バスの面々がしびれを切らして出てくるまで、お互い緊張して何も話せなかった。

まぁ助かったと言えば助かったのかもだけど覗いてたんですか先輩。。。



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ちなみにその日の夜。

成海から"姉ちゃんに話するの忘れてたけど大丈夫だったか?"とメールが来た。

頼むぜ成海。。。

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