第1章 第3話

雪夏ゆきな、明日の午後、あいてる?」


「うん……。」


私こと、小豆沢雪夏あずさわゆきなを佐藤先輩が誘う。

どうでもいいんだけど、佐藤先輩はいつから私を雪夏って呼んでたんだっけ?

そんな事は本当にどうでもいい。

明日、誘われたけど、苑香に聞かされた事が気になる。


「ユッキーナ♪」


「ん?」


「明日さぁ、洋服選ぶの付き合って?」


「あっ、ごめん、先約が……。」


「そっかぁ……佐藤先輩?」


「うん。」


「聞くの?」


「聞けるかな?」


「うーん、聞きづらいね?」


「だよね……。」


苑香と一緒に大きなため息を吐く。


「はぁ……、しんどい。」


「だね?

魂抜けそうだよ、アナタ!」


「抜けてるよ、もう。」


もう何も考えたくない。


「じゃあさ、今日の帰りにファミレス行こうよ。」


「うん……。」


「もーう、元気出してよ。」


「ごめん……お腹痛いや。」


「そっか……保健室行く?

連れていくよ?」


「そうだね、保健室行くよ。」


苑香に連れられて保健室に行く。


「ん?

どうした?

顔色悪いよ?」


保健室の先生が私の顔をじーっと見ている。


「あの、この子お腹痛いって言うんでお願いします。」


「うん、分かった。」


苑香はすぐに保健室から出て行った。


「食欲もなく、寝不足って所かな?」


「分かります?」


「うん。

妊娠……では無いよね?」


「はい……無いと思います。」


「こういう時は、無いですってハッキリ言う人が多いのよ。」


「ですよねー。」


「とりあえず、寝てていいから、それから考えよう?」


「はい……。」


私は保健室の窓側のベッドに寝かされた。

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