第37話決意






「ごめん!俺が電話したばっかりに・・・」




「いや!会長は全く悪くないし、めちゃくちゃ嬉しかったです!!」




「まさか電話の向こうでそんなことがおこってるなんて・・・気づかなくてごめんね」




えまが悲しそうな表情だった。




「ううん!ほんと謝らないで」




「辛かったね・・・誕生日って、年に一度なんだからわたしは幸せな誕生日を過ごしてほしかった」




わかってくれる友達がそばにいてくれてよかった。




「ありがとね、えま」




「周平くんと・・・どうするの?」




「もう・・・無理なのかな」




「俺さ、そんなに恋愛経験ないけどさ。もう、ゆいかちゃん我慢しなくていいんじゃないかな?」




ずっと我慢していた。



距離を置かれてから私は本音を言えなくなった。



うまくおさめることを考えていた。



わたしが我慢すれば、周平は離れていかない。






そんな風に思ってたけどそれも、もう違うみたいだ。








「すいませーーん!」



「はーい!ご注文どうぞ」



「パンケーキひとつください」



「こんな話してるのにえまよくたべるな〜」




「ちがうちがう!もう本当会長わからずや〜」



「えっ?」



「うちらが祝うよ!ゆいかの誕生日!ささやかだけど」




「えま・・・本当にありがとう」








会長とえまが誕生日を祝ってくれた。




泣きそうだった。




この時のパンケーキの味を、私は一生忘れない。














周平との今後の関係を考えていかなきゃいけないところまできていた。



こんなことがあっても、

周平のことがすきだった。



もし、謝ってきたなら。本気で謝ってきたなら。




数少ない望みにかけるのなら---










「ごめんおくれた」



「うん大丈夫」




お互い、まるで何事もなかったかのような会話だった。




えまと会長に話した2日後、周平に連絡して会うことになった。




「大学のさ---」




周平はいつものように自分の話をし始めた。




「あ、ここの服屋寄っていい?」




「うん、いいよ」












「わたし、そろそろ帰るわ」




まだ18時だった。




会って2時間ぐらいしか経っていなかった。




「え・・・あ、うん。わかった」






結局、誕生日の時の話は一切しなかった。



勿論謝ってもこなかった。



普通に会話して、終わった。








私の中で、答えは出ていた。





周平のなかにもう「わたし」はいない。







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