第5話 孤独
目が覚めると風になびく葉の音がレイを包んでいた。周りは木ばかりで、家があるわけでもなく動物が住んでいるわけでもない。ただ葉の音が聞こえるだけだった。レイは立ち上がり、何かを探し始めた。
(何でもいい、ただあの大きな穴に吸い込まれる前にあったもの。人、猫、建物・・・)レイは穴に吸い込まれて、帰る場所がなく失いたくなかった人を失った今、ただ1人この場所に孤独でいるのが嫌だった。レイは木々の間を歩き回った。だがどこに行っても周りに木があるだけだった。レイは
(孤独だ・・・)と思うと地面に膝から落ちた。地面に寝っ転がり、葉でうめ尽くされた空を見上げた。孤独に食い荒らされた心が泣き、レイは我慢していた涙がぽろぽろと出てきた。レイはもう孤独になった。今のレイには泣くことしかできなかった。レイはいつの間にか眠っていた。どうすることもできず、ただその場で丸くなって。
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