第3話 再会2

授業が終わると栗色の綺麗な髪をした声の大きい女の子が駆け寄って来た。


「やあ透君!君の相棒 初谷縁しやへりさくらが来たよ!」


「あ、どうも初谷縁さんよろしく」


「もー、さんなんて付けなくて良いって!」


「いや、初対面だし」


「そっか…仕方がない!今は勘弁してやろう!」


そう言うと彼女は腕を組んだ


幼い顔立ちと華奢な体躯のせいで気付かなかったが腕を組む事によって大きな物が強調され目のやり場に困る。


「そんな事より!アリシアちゃんに挨拶返して貰ってたでしょ!?私なんて挨拶ほとんど返して貰えないのに羨ましいぞ〜!」


「えっと、アリシアちゃんって夢久知さんの事?」


「そうそう!今もほら、隣の席に居るじゃん!」


「下の名前知らなかったから」


「いやいや見た目と名前で分かるでしょ!!」


まるでコミュ力の擬人化のようだなと思いながら会話を弾ませていると隣から小さく細い声が聞こえた。


「話すの、得意じゃ、なくて、ごめん」


「そうだったんだ!ごめん!私今までめっちゃ話しかけてたよね、嫌じゃなかった?」


照れくさいのか彼女は返事の代わりに小さく頷く。


「なら良かった!これからも話しかけて良いかな?」


またこくんと首を振る。


「じゃあせっかくお話してるんだし3人でお昼食べようよ!」


「俺は大丈夫だけど夢久知さんはどう?」


やはり照れ屋なのか返事は聞けないが頬を赤らめながら何度も頷いている。


「アリシアちゃんもめっちゃ頷いてるし皆で食べよー!!!」


話がまとまった所で三人掛りで席を寄せ各々の昼食を出した。


「アリシアちゃんそれだけで足りるの?私のメロンパン上げるから食べなー!」


「いや、初谷縁さんが食べ過ぎなんじゃないか?」


いつの間にか彼女の机の上にはパンやらおにぎりやらが山盛りになっている。


「これくらい食べないと午後の授業乗り切れないよ!」


「それにしてもなぁ」


「もー、女の子に向かって食べ過ぎは禁句だよ!」


なるほど、その大きな物はそうやって育ったのか。


転校の手続きや引越しでバタバタしていたからか久し振りに誰かと食べた昼食はとても美味しくあっという間に時間が過ぎてしまった。



午後の授業が始まり気を引き締めていると視界の端で銀色の何かが揺れる


どうやら隣の席に睡魔が襲い掛かっているようでこくりこくりと頭を揺らしていた。





「それでは本日はここまで、それぞれちゃんと復習しておくように」


授業が終わると同時に隣からひと息吐く音が聞こえる


彼女の方を見ると頬っぺを抓ったのか少し赤い、だが襲い来る睡魔からなんとか逃げ切れたようだ。

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