第2話使い魔と少女

"風の街" フォレスト・タウンの一軒家。

ベットで少年は深い眠りをして、いるのを起こす一人の母。



「ルイス」

「……」

「ルイス」

「…あと五分」

「それを言ってもう二時間、お昼になってしまうよ?」

「へ?」

「ルイス、お前もう十五だ。いい加減、外の世界を味わって来たらどうなんだ」


母に起こされた少年―――ルイスはベットから目を覚ます。五年前の出来事を夢見るとは年齢は重ねたくないものだ。

今年で僕は十五歳となったが、あの日から僕は使い魔試験を順調にクリアして、今や上級使い魔士となっていた。

基本情報だが "使い魔士" は職業としての名前で "使い魔"と呼ぶのが普通なのである。


こうなる為の努力は日々明け暮れるように、本と睨み合い魔法を取得や術式などを覚えて勤勉だけをしていた。



外の世界とは何に興味を抱けばいいんやら。

知識だけ覚えていれは、苦はない現に今は錬金術を覚えようとしてるんだ。



調合だって、ポーションやハイポーションだって作れるんだ。

外の世界に出たら、三秒後死んでるに違いないしね。

母はそんな僕を見て、何食わない顔で言った



「ルイス、今日から家を離れなさい」

「唐突な提案だね、なんで?」


「同じ年代の子達を見な、外の世界へ走ってるのになんだいアンタは? 勉強をしてれば苦じゃないのは確かだけどね。 私はそんな風に育てた覚えはない、五年前を引きずってるままはダメよ」

「同世代と見比べないでよ、それにいくら知り合いでも"他人" にしかならないよ。五年前のことは触れないでよ」


「そうゆう理屈が、後々の人生左右するんだよ。上手く行ける人間なんて、百いれば千人いる。けど、そのうち何割かは、あんた見たく上手くいかないか、なにかに夢中なんだ。そのままじゃダメだから、私はルイスに言ってるだけよ」


母は僕を心配してるからこそ注意してる。

分かってはいるけど、人間関係が苦手な僕はどうしても自信が持てない。


理由も理由なんだけどね。


寝癖が立つ僕は、台所へ行き昼食を食べ終えて部屋に戻り旅立つ準備をする。

特に必要なものはなくてサイドバックを腰に付け、小型の杖と"魔法書"をサイドバックに入れた。

部屋から出てきて、母はある一枚の布切れを手渡す。深緑色のフード付きのマントみたいな物、僕はそれを受け取り母は言う。


「母さんこれは?」

「それはお父さんの肩身よ。大事に使いなさい」



その一言で、僕の脳裏に過ぎる出来事。

今から五年前だ、ある嵐の日の夜。

父親は、ある帝国兵士に殺されてしまった。

フォレスト・タウンに魔物が押し寄せて、兵士は役に立たなく"使い魔" 達が街を救った。

その手柄を、帝国達はよく思わず揉み消す為に―――殺されたんだ。



あの元ギルメン騒動から二日後のさらなる悲劇で、さすがにあの頃はしんどかった。



この父の肩身は、"使い魔士の風飾" と呼ばれる。

使い魔士の証って意味らしい、もちろん"テイマー"は使い魔士になる必須条件で魔物を手懐ける為の技である。


「…お父さんの為に、帝国を復讐する」

「ルイス、そんな事言わない。アンタは道を踏み外して欲しくない、復讐の為に外の世界を見てなんて言ってない。わかった?」

「うん、わかった」

「よし、ならいっておいで」



僕はフォレスト・タウンを離れた、何処に行くか何をするかは未定のまま歩く。

町外れ草原道をただただ歩きながら、右手の包帯を見て思いふける。


人間から離れたのならば…あの子を呼び出すにちょうどいい。

どっか人気がない場所まで歩くか。


森に踏み入りちょっとした木陰にある岩肌に座り、右手の包帯を解き小さく名を呼ぶ。



「"メアリー"」



右手にある刻印が光出して、目の前に現れたのは茶髪の少女メアリー。

見た目はかなり普通な少女だ、けどこの子はサッキュッパスと言う悪魔族に類する。

男性に淡いうふふをする存在だが、この子からはそれを全く感じないし馬鹿である。



「んー、やっと出れた! 二年ぶりの外の空気は美味いね。ルイス、人間見たくなった私の姿見てどうよ?!」



乳の成長はすんどまりで、揺れたものは無いが服装は軽装着、スカートを履くような顔と髪型をしてないのでそこはしょうがない。ショートヘアだから。



「まぁ、可愛いんじゃない?」

「期待していた反応より薄い!?」

「だってなぁ、お前のせいで"テイマー"した魔物は全部サッキュッパスなんだけど」

「おかげで、あれやこれなど様々な展開をされていたはずよね?」



"おまじない"で刻印を付けられた僕だが、調べる為に"刻印書"を見ていた。

だが読むほどそのドラゴンの刻印のことに関する情報がない。結局は参考になる文字はなくてこの世界のどっかにあるはずだ。っと何度も思ってもやはり答えはメアリーにありそう。

何度も聞いたがはぐらかされて終わる、今はまだ知っちゃダメなのだろうか。



「ルイス?」

「ん? なに?」

「何真剣な顔して考えてるの?」

「メアリーが、刻印の意味を教えないからさ」

「ティマ―してサッキュッパスが生産系かな? 私、幼かったからよく分からない」

「え、えぇぇぇぇぇ―――!!?」

「普通、私を呼ぶことなんて出来ないし。それに、何らかの契約を交わしたみたいなんだよね」

「メアリーと?」

「うん」

「お前から離れられない呪縛?」

「なんで嫌そうに言うのよバカ!」

「軽い冗談」

「もー、えいっ!」


わかる情報量は、使い魔としてこの子を召喚してるのだろう。

使い魔にも、ティマ―したモンスターを呼ぶ"笛"はあるがルイス見たく"召喚"は系は上位使い魔には存在するが出来る人はほんとわずかでレアケースらしい。


それを知ってるか知らないのかメアリーは僕に抱きついてきた、許しを乞う割にはかなり身体を密着させてる。

だが、僕はこの扱いに慣れている。なのでメアリーの弱点である脇腹が触る。


「こちょこちょ」

「ひゃっ!? ちょ、な、あはは―――!!」

「こちょこちょ」

「る、ルイスやめっ…たははは―――!!」

「メアリー参ったか?」

「うー…。ルイスはサッキュッパスの敵なの?」

「違うけど違わない」

「どっちよそれ!? あ、まってよ!!」



僕は逃げるように走り、メアリーはその後を追ってくる。実に楽しい。

これが冒険の始まりなんだな―――。


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