第3章.道

第54話 目標

「た、助けれた…」

 私は地面に倒れる。仰向けで倒れた私の視界には青々とした綺麗な空が広がっていた。


 そして私の隣ではソーマが青い炎に包まれ、卵の様な形で轟々と燃え盛っている。


 黒いソーマがいない…もしかしてソーマと?

 私は青い炎に包まれている物を見つめる。


 すると青い炎が先程よりもさらに燃え上がり、消えていく。


 ボゥッ!


(スプリングさん! ただいまです!!)

 そこに現れたのは、私よりも少し小さな子供。ソーマがなんと、人型になって出てきたのだ!


「ソーマ!? おかえり!!」

 私はソーマに飛びつく。

 が、私はソーマを通り過ぎ地面に顔を激突される。


 体力:8/10


 神の尖兵にも体力を1しか削られなかったのに…。


 いや、それよりも!!


「ソーマ!! 凄いね!! 進化しちゃったの!?」

(そうみたいです!!)

 喜んで笑顔で空を飛び跳ねているソーマに向かって私は、【鑑定】を発動させる。




 名前: ソーマ

 種族: 幽霊

 レベル: 1

 体力: 80

 SP: 150


 ステータス:

 力: 0 防御: 0 敏捷: 110 魔力: 165 幸運: 0


 状態: 普通


 親交度:90


 スキル

 【浮遊】Lv5 up

 【火魔術】Lv3 up

 【誘引】Lv5 up

 【飛翔】Lv1 new

 【引力】Lv1 new




 ふぁっ!? なんか色々増えてるわ!!

 ベリアルと同じ時みたいにステータスも増えてる! 多分、ステータスを振ってあるところが50増えてるのかな?

 私は予想する。


 そしてあることに気づく。


「そうだ! ベリアル!?」

 私は黒いソーマに落とされたベリアルの下へ行く。


(うっ…スプリング)

 ベリアルは私達が近づくとゆっくりと体を起こす。

 怪我はとても酷く、自分では動くこともままならないようだった。


 私はベリアルのステータスを確認する。




 体力:12/150




「体力が…」

 ベリアルの体力はほとんど削られていた。

 黒いソーマによる攻撃がどれだけ強力だったのか、良く分かる。


 進化したベリアルが一撃でこうなる相手があと5体もいるの?

 私の背中にゲームの中にも関わらず、嫌な汗が流れた。

 今回は偶々相手がソーマで、シャドゥールに助けてもらったお陰で乗り越える事ができた。言わば私達の運が良かっただけ。


 これで神の尖兵と戦うとなると、ベリアルやソーマが死んじゃう…。


「…よし! 決めた!」

(どうしたんですか?)

 ソーマは首を傾げる。


「まだ私たちの実力じゃ神の尖兵には勝てない! だから私達は情報を集めながら実力をつけよう! 倒すのは他の人に任せよう」


 う…重い…。

 私はベリアルを頑張っておんぶする。


(スプリング大丈夫?)

「だ、大丈夫」

 ベリアルは私をかばってこうなったんだ。

 これぐらい…。


 そうして私が"フォッグの街"から出ようとしていると、


「先輩!何してるんですか?」

 前からサキさんが走ってくる。


 ていうか先輩って言ってるじゃん。ま、それだけ驚いてるってことかなー。

 私がそんなことを言ってると、サキさんは私の胸倉を掴む。


「…説明してくれますよね?」

 …顔は笑ってるけど、目が笑ってない。


 私はサキさんのあまりの勢いに、身体を震わせて事情を話した。




「そういう訳なんで、これから私達は力をつける為に色々探索してみたいと思ってます」

「なるほどね…分かった。じゃあとりあえずソシャールに帰るの?」

「はい、そのつもりです。サキさんはどうするんですか?」

「うーん…1度ここに残る、かな。初めてきた所だし、ここにもしかしたら神の尖兵の情報もあるかも」


 確かに。なら私もここに残ったほうがいい?

 いや…ここはサキさんに任せて他の場所を探した方が効率がいいか。


「分かりました。では此処はサキさんに任せたいと思います!」


 私はサキさんに手を振って別れる。


「よし。じゃあソシャールに戻ろうか」

(うん!)

(はい!)

 私は愛しのパートナー達と談笑しながら、ソシャールへ向かった。

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