第36話 戦闘狂

(スプリングー。無事?)

 コテンと傾けられた姿を見た私は、我慢できずにベリアルに飛びついた。



「無事だよ〜!! ありがとうベリアル!! 助かったよ〜!!」

 私は火が出るのではないかという速度でベリアルの身体中を撫で回す。



(よかった! スプリング元気!!)

 と言いながら笑うベリアル。マジ天使。悪魔の中の天使ですわ。



「あー、あの楽しんでる所悪いんだけど。」



「あぁん?」

 誰だよ、私とベリアルの仲を育んでいる途中に話しかけてくる奴は。

 振り返るとそこにはサキさんとチューが、震えていた。



「そ、そんなに怒らなくても…。」

「チュッ…。」


「あー! ごめんなさい! 嘘です! 嘘!!」

 そ、そっか…サキさん達もいたんだ…。私はサキさんに謝る。



「いや、いいんだよ。少しお礼を言いたかっただけだからさ。2人で楽しみなよ。」

「チュッ…。」

 サキさん達は目を逸らしながら前へ進んで行った。



 行ってしまった…。いや、てかあの2人が行っても戦えないんじゃないの!?

 私達はカメレオンを倒して手に入れたお金を拾って、急いで追いかけた。



(あれ? スプリングさん、どうしたんですか? そんなに急いで?)

 途中で、ソーマと合流する。



「サキさん達が先に行っちゃったんだ! 急いで追いかけてくれ!」


(そうなんですか? 分かりました!!)

 とソーマが言うと、急いで追いかける。流石私達の中の最速。あの調子だとすぐ追いつくな。

 と思っていると、



 ん? なんだ? ソーマが帰ってきた?

 ソーマが何故か、追いかける時よりも早く帰ってくる。


「どうしたのー? 」


(い、いや…助けは要らなかったみたいです…。)

 とソーマが何故か言いづらそうに言う。


 どう言う事? ソーマがこんな態度って事は相当怒ってるのかな? 急がないと!!




「なに、これ…。」

 そこにはサキさんとチューが、大量の蜂を相手にしていた。

 しかもサキさんの武器は…



「いや…お盆って…。」

 お盆で叩き落としていた。叩き落とした蜂は一撃で葬っている様で、どんどん数が減っている。しかもチューのスキル【危機感知】で攻撃も当たっていない。



「サキさん…強いじゃん…。」

 そんな事を思っていると、サキさん達の戦闘が終わった様だ。



「はー、スッキリした!!」

 サキさんはそう言うと、背伸びをする。


「人が戦闘しているのを少しでも見ると、戦いたくなっちゃうからダメだよねぇ。でもこれで大分スッキリしたから、もうやらなくてもいいかな? さーて、早くスプリング達に謝らないとね。」

「…チュッ。」


「え? 何? チュー。」

 そう言ってサキさんは振り返る。




 ………。

 時間が止まる。




「あのサキさんってもしかして…」

 私が質問しようとすると、


「いやいやいや! 戦闘狂とかじゃないよ!! そう見られない為に売り子とかやってるとかじゃないからね!? 勘違いしないでよ〜!!」

 と早口で言った。



 …私、まだ何も言ってないんだけど…。



 ………。

 またもや時間が止まる。


「あ、あの…これは秘密に…。」

 とサキさんが小さな声で言ってくる。



「いや、まぁ、別に、いいですけど。」

 私は頭を掻いて承諾し、奥へと進んでいく。






 奥へと進んで行くたびに私達は色々な生物と会った。

 まずあの消えるカメレオン。

 改めてあのカメレオンを【鑑定】してみてみると。



 名前:

 種族: インビジブルカメレオン

 レベル: 13



 レベルは私の大体倍ぐらい。通りであの時1体しか倒してないのに、レベルが上がった訳だよ。

 後はサキさんが戦ってた蜂。



 名前:

 種族: アーミービー

 レベル: 12



 めちゃくちゃ呼びづらい種族だけど、中々のレベル。しかもあの数。普通に会ったら倒される筈なんだけど…。サキさんのレベルって何なの?

 あとはもう1体。



 名前:

 種族: フォレストモンキー

 レベル: 10



 レベルは低かったんだけど、頭を使って連携してくる感じが辛かった。ま、ソーマの誘引でサクサク倒しちゃった訳だけど。



 まだ、探索すればもっと色んなのが居ると思うけど、今回はそれをスルー。私達の目的は…






「着いたよ、スプリング。この先がエリアボスが居る所だよ。」


「ここが…。」

 私は立ち止まって、前を見る。

 そこは木がトンネルの様に変形しており、現実にあったら通ってみたいと思わせる様な場所であった。

 しかし、そこからは何か空気が変わっている様な気がした。普通の森とは違う。周りと違ってもっと暗い…。

 そんな事を思っていると、私はある事に気づく。



 あ、そうだ。その前に私達のステータスポイントを割り振っておかないと!



 名前: スプリング

 種族: 人間(炎に認められし者)

 レベル: 7

 職業:幻術師

 体力: 10

 SP:600 (+500)


 ステータス:

 力: 0 防御: 0 敏捷: 5 魔力: 270(+150)

 幸運: 5


 状態: 普通


 スキル

 【魔力制御】Lv3

 【影魔術】Lv4 up

 【光魔術】Lv1

 【鑑定】Lv3 up

 【浮遊】Lv1


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前: ベリアル

 種族: インプ

 レベル: 10

 体力: 50

 SP:100


 ステータス:

 力: 35 防御: 0 敏捷: 10 魔力: 60 幸運: 0


 状態: 普通


 親交度:60


 スキル

 【魔力制御】Lv2 up

 【闇魔術】Lv3 up

 【いたずら】Lv2


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前: ソーマ

 種族: 魂

 レベル: 9

 体力: 30

 SP:100


 ステータス:

 力: 0 防御: 0 敏捷: 50 魔力: 70 幸運: 0


 状態: 普通


 親交度:50


 スキル

 【浮遊】Lv3 up

 【火魔術】Lv2

 【誘引】Lv3 up




 私は5、ベリアルは10、ソーマは10、振り振った。全員魔力に振るという、魔力特化チームになって来ました。いいね、そういうの好きよ私。拘りがある感じね。


 私は割り振ると、サキさんを見る。

 サキさんが頷くのを見ると、私達は奥の木のトンネルに入って行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る