(6)エーグル対青野

◇◇◇学園都市・上空◇◇◇


青野は空にエーグルを連れて転移した。

「アオノーー!貴様さえ!貴様さえいなければ私はーー!」

(うわっ完全にイッちゃってる顔だな、目が尋常じゃないもん……)


血走った目には憎悪しか込められていない、青野が平然と催眠魔法を無効化した事も。イオリアに自身が用意した魅了薬が渡らなくて結局相手にされなかった事も含めて何もかも思い通りにならなかった事は全て青野のせいだと考えていた。


青野からすればまともに構う気すら起きないくらい下らない話だ。

しかしそれでもこうして転移魔法を使った理由は簡単である。


「ウォオオオオオオオオーーーーーーッ!」

「……本当に魔法を使って来ましたね」

青野は心意看板でエーグルの心を読んだ、エーグルはあの場で他人を巻き添えにするつもりだったのだ。だから青野は渋々相手をする事にした。


エーグルの周りに幾つもの巨大な魔法陣が展開される、それからは巨大な樹木やら植物やらが這い出して来た。


メキッ!メキメキッ!メキメキメキキッ!


その巨大な植物達はエーグルと青野を呑み込み、更に巨大な球状を形成していく。学園都市の上空に異様な浮遊物が現れた。

そしてエーグルと青野の戦いが始まる。


「アオノ!この卑怯者め!この手で罰を与えてやるーー!」

(何をされて負けたのかすら理解してないのに、よくもまぁ卑怯だとかって言えるよ本当)

エーグルは巨大な植物を操り青野に襲いかかる。


前の試合で青野には魔法で隠れたりする事が無意味らしいと理解したエーグル、今度は真正面から青野を殺す気満々である。


最早理性の欠片も感じさせない殺意の塊となったエーグルの攻撃を青野は飛行魔法で躱す。


「逃げるな!卑怯者!」

「……攻撃を躱すのが卑怯って……ハァッ」


宙に浮く青野に左右から挟み撃ちで丸太の数倍の太さがある植物が襲い掛かる。

それを平然と急上昇して躱す。


そこに真上からの植物攻撃、今度は右に移動して躱した。

(周り全てが敵だらけ見たいなもんか、本来なら魔法で一掃してるところだけど……)


青野には既にエーグルを倒す考えがあった、それ故に今はエーグルに好き放題させている。


「どうしたどうした!?逃げてばかりか!やはり外の魔法使いなど、大した事はないなぁーーー!」

エーグルの煽り攻撃だ、喋りながも次々と植物を操り攻撃してくる。


青野は飛行魔法で躱しながらエーグルの言葉は無視した。

すると面白くないのかエーグルは更に攻勢に出る。

「言い返す余裕もないか!?ならもっと追い詰めてくれるわ!ストームブリンガーー!」


風が集約し、魔力の光を帯びた風の剣が5本生み出された。それは意志があるようにその切っ先を青野に向けて突撃していく。


ヒュゴォッと大きな風切り音を発してながら高速で襲い掛かる風の剣にも青野は対応しなければならなくなった。


(面倒臭いな、植物と風魔法の剣って攻撃速度が違うから躱すタイミングがズレるんだよな…)


(ぐううううっ!まだ躱すか!ヤツはハエか何かなのかクソ!)

「貴様は本来あの魅了薬をイオリアに渡し、イオリアに失望され、イオリアを私に寄こすのが仕事だったんだ!」


「彼女は物か何かではありません」


「黙れ!そして魅了薬を使った罪も貴様がかぶり学園都市から追放される!それで、それで全ては事が収まったと言うのにーーー!」


(何も収まってねぇよ、何処まで自己中心で物を考えて生きてるんだよコイツ……)


青野はエーグルがキモイと思った、それと植物も風魔法の剣も普通に躱していた。

「ええいっ!躱すな!当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれーーー!」


殺到する植物と風の剣、青野はここで攻撃魔法を使った。

「……破壊の光デストラクション


青野の手から青い光が放たれる。すると光に触れた植物も風の剣も一瞬で消滅した。

「ッ!?……バッバカな魔法どころか魔力まで完全に消滅するだと!?そんな事が………」

「そう言う魔法ですからね」


一瞬でエーグルの攻撃を消し飛ばした青野、エーグルも流石にここまでくると青野がただのペテン師魔法使いではないと理解せざるを得ない。


「そっそんな魔法聞いた事すらない!有り得ん!有り得ないんだーー!」

「まぁ私以外は使えませんからね?知らないのも無理はないかと」

「ぐっ!……がぁあああああああああああっ!」


エーグルが両手を前に出す、すると手の前に黄色く輝く魔法陣が現れた。

「消し飛べぇええっ!ギガストームキャノン!」


魔法陣から嵐の砲弾を発射するエーグル、それを青野は平然と躱してエーグルに接近していく。

「これで終わりですか?」

「まっまだだぁあっ!」


エーグルの魔力が更に上昇した。大きな魔法を発動する気だ。

植物魔法プラント・マジック大食らいの悪魔植物グラトニー・デビルプラント!」


メギッ!バギャアッ!バキンッ!

「………!、上か」


エーグルの魔法が発動すると同時に青野の頭上の天井の植物を何かが破壊しながら現れた。


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今日は3話投稿します。

次に投稿するのは今週の土曜日です。








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