第6記:悪玉

 眼が覚めた。枕辺の時計は「朝の7時」を示している。布団に潜り込んだのは「夜の1時頃」だから、睡眠時間は6時間弱。

 一晩中降り続いていた(と、思われる)雨も、さすがにやんだらしい。どうしてわかるのかと云うと、庇を叩く雨音が聞こえないからである。

 台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注いだ。金曜はチェスクラブ、土曜は映画まつりと、楽しい行事が連続したが、今日の俺に、出陣の予定はなかった。愛機を起動させて、ぴよぶっくを呼び出し、編集作業に埋没した。


 ダサク2頁を書く。地下(迷路)篇と地上(都市)篇を交互に書いている。今日投稿したのは後者である。

 最初は「50頁ぐらい」と考えていた『邪神の眠り』だが、書いている内にだんだん面白く(※内容ではなく、書くことそのものが)なり、100頁を超え、200頁を超え、気がついた時には、300台後半に突入していた。近頃では、半自動的に筆が動いてくれる感じだ。400到達は確実だろう。もちろん、頁数が多ければ良いというわけではない。

 地上篇の主人公は、ウシワカとシオールに任せている。この二人の描写には毎回苦労する(特に前者)。自分との共通点(要素)がほとんどないキャラクターを書くのは本当に大変だ。彼らに比べたら、今回登場したトビタツは楽なものだ。理由は簡単。悪人だからである。台詞もスラスラと出てくる。俺の内面に住(潜)んでいる「蛇」や「魔」が、それを可能にするのだろう。〔2月14日〕


♞文中の「映画まつり」とは、キネマ旬報社主催の「ベストワン上映会」のことだろう。会の後に催される表彰式には豪華なメンバーが顔を揃え、場内は大変な盛り上がりとなる。チェスクラブはやめたが、映画をやめるつもりはない。生涯の趣味だと思っている。


 眼が覚めた。枕辺の時計は「朝の5時55分」を示していた。昨夜は眠りに落ちる寸前まで「飛行船の映画」を観ていた。飛行船が好きである。飛行機も好きだが、飛行船の方が優雅な感じがする。

 夢の中では何度か乗っているが、実際に乗船したことは1度もない。おそらく、これからもないだろう。どんな乗り心地がするのか、興味を覚える。時々、宣伝用の飛行船を、仰視しながら、空想や想像を膨らますのが精々である。そしてそれは、現実のものとは「全然違う……」と、思う。


♞以上は、同月19日に投稿した日記の一部である。

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