あの夏の行方

 色とりどりのスターマインが夜を明るく照らし、祭りは終演を迎えた。

 ただ、なんとなく帰る気にならず、それは彼女も同じだったようで、満天の星空を見上げながらダラダラと話し続けていた。

 彼女は唐突に衝撃の話をし始めた。


「実はね。今日君を誘ったのは伝えたいことがあったからなんだよ。どこで言うべきか悩んでいたんだけど、いい場所に連れてきてくれたおかげで多少は緊張も解けたよ。ありがと。で、伝えたかったことなんだけどね。私、昔から君が好きなんだよ。勿論友達としても、異性としてもね。だから私と、付き合って欲しいって言いたかったの。駄目……かな?」


 うん……うん?

 彼女はなにを言い出したのだろう。

 好き……誰が誰を?

 彼女が僕を……?

 まさか。

 今はもう疎遠になった唯の幼馴染を想い続けるなんて無理があるだろう。

 確かに僕は彼女を想い続けているわけだが、この際それは関係ない。

 いや、そうではなくて。

 彼女が僕と対等でいたいと思ってくれていたことが嬉しくて、その言葉を理解するのに時間がかかっただけだ。

 そして同時に、先を越されてしまったことを理解して、遣る瀬ない気持ちになった。


「勿論良いんだけど……実は僕は今日、華に告白するつもりだったんだ。先を越されてしまったな。まぁ良いや。こちらこそ頼りない僕ですが、よろしくお願いしたいです」


 すると彼女の目から一筋の洟が零れ落ちた。

 彼女は袖でなみだを拭いて、少し震えた声で言った。


「うん! よろしくね!」


 こうして僕らの破茶滅茶な恋人生活は幕を開けた。

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