俺、市大会で優勝したらあの子に告白する。

@kondeneinensizaihou

第1話

「俺、市大会で優勝したらあの子に告白する!」


「いきなりどうした?大地」


「だから、今回の春季で優勝したらあの子に告白すんだよ」


「はぁ」


俺の名前は、柏瀬大地かしわせだいち。中学三年生、剣道部部長だ。


で、今話を聞いてもらっているこいつは清水洸しみずこう。俺の親友である。


「いやでもお前確か、去年は準優勝に終わっていなかったか?」


「ああ、そういえばそんなこともあったな」


去年の春季は、笠藪かさやぶ中学校の同級生に決勝で負けてしまった。


だが、今回の試合は彼に勝つつもりだ。伊達に練習はしていない。


「そう、か。試合も告白もうまくいくといいな」


そう告げた親友の顔は、少し苦々しい顔であった。






試大会の結果は、かなり上々だ。一回戦目二回戦目と順調に勝ち進んでいき、次試合が決勝である。


僕は、面をつけ、竹刀を持つとコートへと向かっていった。


向かいには同じく中学三年生であろうと思われる千代南ちよみなみの中学生が。


同時に礼をし、コートの中に入っていく。竹刀を構え、蹲踞そんきょの姿勢になる。


「始めっっ!!」


主審しゅしんの始めの号令がかかると同時に僕は立ち上がり、相手に打ちを放つ。


僕が一直線に相手へ向かって小手こてを放つと、相手は小手をさばき僕の面へと向かって打ってきた。


今度は僕が面を竹刀で受け止めるとガラ空きのどうに向かって一本胴を打った。


その胴は相手にしっかりと当たったが、一本にはならず、僕と相手との試合が再開される。


これまでの攻防で経過した時間はおよそ30秒。試合時間は3分なので残りの試合時間はおよそ2分30秒だ。


出来るだけこの2分30秒のうちに一本でもいいからとっておきたいところだ。


そんなことを考えていると、相手が小手を打ってきたので、僕は一歩下がり小手を回避すると相手の面へと竹刀を振り下ろした。


竹刀を力強くしっかりと当て、竹刀の先端20センチメートルが当たるように調整し、これ以上ないほどの大声を出して、しっかりと音が鳴り響くほどの踏み込みをする。


その後の残心ざんしんも忘れない。僕は、面を打った後真っ直ぐと進んでいき、コートを出ないところで振り向き、相手へ竹刀を構えた。


「面ありっっ!!」


審判の声が響き、一時試合が中断される。この試合は3分の3本勝負である。


先に2本先取した方の勝ちだ。つまりあと一本取れば僕が、二本取られれば相手が勝ちとなる。そして、一本取られれば延長戦となる。


そんなことを考えながら、僕と相手は互いの試合の初期地に戻ると竹刀を構えた。


「始めっっ!!」


再び審判の号令がかかると相手が我先にと小手と面を連続で打ってきた。


僕はどちらの打ちも竹刀で受け止めると、僕へと突っ込んできた相手の体を受け止め、体勢を崩した後に、下がりながら小手を放った。


すると相手はすぐに体勢を整えると僕に向かって小手を放ってくる。


僕は、その小手を躱そうと一歩下がり面を打とうとした。


「やめっっ!!」


その瞬間、審判の号令がかかり僕たちの試合が一時中断となった。


「赤っっ!!反則一回!!」


反則とは文字通り試合においての反則である。2回反則をしてしまうと相手に一本取られた扱いになってしまうので気をつけなければならない。


反則は、主に竹刀を落とすだったり、コート外に出るといったことをす。


一応、それ以外にも反則はあるのだが僕はその2つしか試合では見たことがない。


ちなみに、僕の反則はコート外に出たことによっての反則だ。


これで僕は、もう反則ができなくなってしまった。


ちなみに、赤とは僕のことである。試合の時に試合者の名前をいちいち呼んではいられないので、色で識別している。


主審から見て右が赤、左が白となる。よって、相手の色は白である。


「始めっっ!!」


再び審判の号令がかかり、試合が再開される。


今まで経過した時間はおよそ2分。よってこの勝負、後1分耐え切れば僕の勝利となる。


相手が小手と面を打ってきたのを竹刀で捌き、相手の体当たりを受け止めると僕は、相手の竹刀に自分の竹刀を絡ませて、こちら側へと引き寄せた。


カランカランカラン、と竹刀が落ちた音が試合場に響いた。


「やめっっ!!」


審判の号令がかかり、相手は竹刀を拾いあげると初期地へと戻った。僕もそれに続き、初期地へと戻る。


「白っっ!!反則一回!!」


竹刀を落とすも反則の一つである。もちろんそれは、相手に落とされたものも反則とされる。剣道界では割とあることだ。


「始めっっ!!」


残り時間はおよそ30秒。ここにきて相手が果敢に攻めてきた。


面、小手、小手、面、胴、小手、面、胴、胴、面、小手…。


僕は、その全てを竹刀で受け止め、一歩下がり回避して、返し技を打ち、対応しきった。


残りはおよそ5秒。コートの外で時計係の人が時間を知らせようと立ち上がる。


その瞬間、よそ見をしていた僕は相手の打ちを竹刀で対応しきることができずに、一本取られてしまった。


「やめっっ!!」


残り時間はおよそ3秒。そんな場面で相手への反撃を許してしまった。これはかなりまずい。


「始めっっ!!」


僕は審判の号令がかかると同時に相手へと打ちかかる。


ピーーーーーーーーーーーー


その瞬間、試合の終了を知らせる音が鳴り響き、僕と相手は撃ち合いをやめ、初期地へと戻る。


「延長、始めっっ!!」


延長とは、その名の通り延長して行われる試合のことである。


延長試合では、どちらかが一本取るまで永遠に終わらない。


もちろん、途中で休憩などは挟まれるのだが一本取られれば終わりなので通常の試合より緊張感が高まる。


そんな中、僕と相手との試合が再開した。







相手の小手を捌き、面を打ち、小手を打ち、どれだけ経ったのだろう。


いくらなんでも実力が拮抗きっこうしすぎではなかろうか。


延長が始まって15分となる。すでに休憩は3回挟まれている。


僕は、試合の疲労から少し楽をしようと体勢を崩した。


その瞬間、僕の面が相手の竹刀に打たれた。勝負が、決まった。


……………………………………………………


連載、今度こそ頑張りたいと思います!

誤字脱字やこの表現わかりにくいなどといったものがございましたらどうかコメントの方よろしくお願いします。


by 自由奔放くん

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