第4話 【鑑定SP】

 晴人は運良く見つけた謎の果実【スキルの果実】を体内に吸収したことにより、【鑑定SP】というスキルを入手した。


【鑑定SP】と表記してある以上、鑑定系スキルで間違いないだろう。

 鑑定系のスキルといえば、異世界ファンタジー小説や、RPGのスキルとしては大定番の内の定番である。


 晴人は【スキルの果実】を喰らった事により、自分のステータスへと反映された【鑑定SP】という文字を凝視する。


 どのように使うかは書いては無かったが、晴人は今までの読書経験を掘り返して、実際に鑑定系スキルである【鑑定SP】を使ってみようと頭の中で念じてみる。


 最初に【鑑定SP】の標的になるのは今まで大変お世話になった【ふしぎな果実】である。



「よし! まず初めてはやっぱり【ふしぎな果実】でも鑑定してみよう!」


 水色に光り輝く禍々しい形の【ふしぎな果実】であるが、禍々しさから想像できないが、意外と美味しくて異世界転移してこの森でサバイバル生活を送る晴人の主なエネルギー源となっている。

 晴人がいる【謎の森】の至る所で【ふしぎな果実】が実っている。


 晴人は【ふしぎな果実】を【鑑定SP】を使って、前の世界で検索する時のイメージを【ふしぎな果実】へとぶつける。


 すると【鑑定SP】が発動したのか、晴人の視界には検索画面のようなものが浮かび上がった。


 そして【鑑定SP】によっていつも口に入れている【ふしぎな果実】の正体が明らかになった。


————————————————————

【名称】ふしぎな果実


【等級】神話級


【効果】


 ステータスにおいて#任意__ランダム__#に1000だけUPさせる。


【詳細】

 

 『神の園』にしか実らないとされている幻想の果実。伝承によると【ふしぎな果実】を一口食べるだけで、一騎当千の力を手に入れる事ができるという伝説が残っている。

 だが実際には【ふしぎな果実】を口に入れた者はいないとされている。


————————————————————


 晴人は【ふしぎな果実】の鑑定結果に驚いた。


「え!? 何だよこれ! この【ふしぎな果実】ってのは幻とされるようなモノだったのか? それも一口食べると一騎当千の力が手に入るなんて、一体俺は何個食べたっていうんだよ」


 晴人はいつも【ふしぎな果実】を吸収した時に頭に流れてくるアナウンスによって、果実の名称が【ふしぎな果実】だということは知っていた。


 けれど晴人は【ふしぎな果実】を鑑定した結果に驚かざるを得なかった。

 それもそのはず。今この森でサバイバル生活を送っている晴人にとっては【ふしぎな果実】は前の世界でいうような米やパンのようなものだ。


 この森には【ふしぎな果実】は大量に実っていて、この地でサバイバルする晴人の主食、エネルギー源である。


 いつも食べている【ふしぎな果実】が実は幻の存在と呼ばれる果実だなんて。

 晴人にとっては信じられないことだった。


 晴人は【ふしぎな果実】が幻のモノと信じられないまま、近くに実っていた【ふしぎな果実】を素手で捥ぎ取って胃袋の中へと吸収した。



 ピロリン♪


『報告、【ふしぎな果実】を体内に吸収したことを確認しました。よって【ふしぎな果実】の効果をステータスに反映させます』


 ピロリン♪


『報告、【ふしぎの果実:攻撃力UP】により攻撃力を1000アップさせます』



【ふしぎな果実】を鑑定した結果通りに【ふしぎな果実】を口に入れるとステータス項目の【攻撃力】がアナウンス通り1000UPしていた。


 晴人は【ふしぎな果実】を吸収してステータスの【攻撃力】上がったのを確認したのちに、目の前に流れる透明度高く澄んだ小川へと目を向けた。


 そして晴人【ふしぎな果実】を鑑定した時と同じ要領で、【神聖水】を【鑑定SP】で鑑定した、



 【鑑定SP】を使用したことによって、先程喉を潤した【神聖水】の正体とが明らかにされた。


————————————————————

【名称】神聖水


【等級】神話級


【効果】

 

 ステータスにおいて最大HPを1000UPさせる。さらにHPを全快させることもできる。加えてどんな穢れや強力な呪いでも全てを無効化する事ができる。


【詳細】


『神の園』に流れていて、神力と聖力が充分に浸透した幻の聖水。

 新聖水を取り込めば、如何なる病であっても完治するという伝承が残る幻の聖水。

 さらには新聖水は『不死の水』と呼ばれる。


————————————————————



 晴人は【神聖水】の鑑定結果に狂ったような乾いた笑い声が晴人の口から零れ落ちる。


「ははははは、じ、冗談だろ?」


 鑑定の結果、形を禍々しいけど味は美味しい普通の果実かと思いきや、【ふしぎな果実】と呼ばれる神話級の幻の果実だったり、澄んだ綺麗な水かと思いきや、【神聖水】と呼ばれる幻の聖水だったり………


 なんなんだよ。この場所は。

 そんな思考が晴人の脳内をぐるぐると回っている。


 晴人の脳内の中ではある程度わかっていた。

 ここがどういった場所かということは。


 だが、晴人の脳内はそのような馬鹿げた事をどうにも認めようとしなかった。


 晴人もいつまでも現実逃避しているわけもいかずに、晴人は認める事にした。


 晴人が異世界へと転移を果たした場所というのが、普通の森何かではなく、『神の園』という場所で、異世界の中でも伝説級、神話級、幻想級と場所であるという事を。


 晴人は伝説級の水【神聖水】が大量に流れていく小川や、伝説級の果実【ふしぎな果実】があちこちに実っている状況を見てふと思った。


「俺……これからどうなっていくんだろう……」


 晴人は自分がこれからこの『神の園』で暮らしていく中でどうなっていくのか不安になった。

 晴人はその不安を少しでも和らげる為に、【ふしぎな果実】を捥ぎ取り、口にした。


 ピロリン♪


『報告、【ふしぎな果実】を体内に吸収したことを確認しました。よって【ふしぎな果実】の効果をステータスに反映させます』


 ピロリン♪


『報告、【ふしぎの果実:攻撃力UP】により口撃緑を1000アップさせます』



 晴人が抱いた不安もすぐに晴人が抱いた期待によって掻き消される事になった。


 晴人が抱いた期待というのは、異世界に飛ばされさらには『神の園』などという可笑しな場所に連れてこられたおかげで、この異世界に置いて人類最強になれるかもしれないという可能性が見つかったのである。



 晴人は自分が人類最強になれるかもしれないという期待を抱きながら、今日も【神の園】という森で、新しい食べ物を探し止めて探索と採集を行った。

 

 そして、気がつくと晴人が【鑑定SP】を入手してから約3日程が経った。


 晴人は新しい食材を求めて、探索しているところ初めてこの『神の園』という場所で動物を確認した。


 その動物はというと、とても美味しそうな見た目をした小さな兎型の動物だった。


 晴人はもしかしたら久しぶりに肉が食えるかもしれないという期待に、胸がドクドクと高鳴るのを感じた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る