2-1.まさかの新エピソード始動!「メリアVSアルヴ~アイドル活動、始めます!~」

【シナリオ概要】

スイートピーとの絆を紡ぎ、新たな門出を迎えたユイと愉快な仲間たち。

彼らは駆け出し冒険者のスイートピーを鍛える傍ら、さまざまな依頼を受けていた。

そんなある日、ユイはひとりのアルヴの少女と出会う。

彼女はユイに「アイドルとしての心得を教えてください!」と告げてきて――!?


シナリオタイトル「メリアVSアルヴ~アイドル活動、始めます!~」



――思わぬ好評を受けて続編をやろうと相談した結果、快くOKしてくれたPL陣。しかし予定が合わない! みんなの予定が真っ赤!

 そんななか、GMはとある暴挙に出る……。


「ソドワでソロシ、やるか!」


ユイ で、呼ばれたわけだけど、まさかここまでがっつりアイドルに焦点を当てたシナリオがくるとは思わなかったな~(笑)


GM 直近で予定合うのがユイの人しかいないじゃん! ってなって、それならアイドルシナリオやるかって感じだったよね。


ユイ みんな忙しいからね~。GMが卓予定入れすぎ問題もあるけど~。


 まったくもって返す言葉もございません。TRPGは楽しいからね、仕方ないね(目逸らし)


ユイ ソドワでソロシナリオは流石に初めてだな~。


GM どうしても6月中に一本は更新したかったんだよね。それにソドワでソロシナリオにもチャレンジしてみたかったし。


ユイ フェローのルールのおかげで少人数でも遊びやすくなったからね~。早速スィーちゃんと絡めてうれしいなー。


GM スィーちゃん?


ユイ そうそう、スイートピーちゃん、だと長いし、アイドルには愛称も必要かなって。


GM まぁ別にいいけど……。ただ、スイートピーが一緒とは言っても今回のメインはアルヴのヒロインだから、そこのところは忘れないでね?


ユイ だいじょーぶ。かわいい女の子がいればそれだけで積極的に絡みにいくから~。


GM お、おう……。


 ちなみに、アルヴはかつてヴァンパイアだった者が星神ハルーラに導かれて許された存在、とされている。最低でも1週間に一度は他者からマナを吸わなければ衰弱し、2週間吸収できなければ死に至るという種族だ。


ユイ それにしても、早速アウトロープロファイルブックの追加種族なんだねー。


GM そうそう。アルヴが使いたかったから即購入したよね。


ユイ GMが好きそうな種族だからね~(笑)。選択ルールの「ロールプレイボーナス」は採用する感じ?


GM せっかくだし採用しよっか。


ユイ オッケー。「アイドル志望のメリア、ユイだよ~。経験点は次のために取っておいたから、成長はなし! 今回はいよいよ本格的なアイドル活動ができるみたいだから、気合入れていくよ~!」


 ロールプレイボーナスというのは6月18日に発売されたサプリメント「アウトロープロファイルブック」で追加された選択ルールで、セッション開始時にロールプレイでキャラの名乗りや成長報告、意気込みなどを語ることで、【剣の恩寵】というリソースがひとつ手に入るルールだ。この【剣の恩寵】を使うことで、一度だけ自分の判定や他人の判定に+の補正を入れることができる。


GM あ、そうだ。時系列はふわっとさせておきたいから、前回のシナリオのあとしばらくして、スイートピーが冒険者になって何度かみんなと冒険をしているってことで。その内のひとつを切り取ったエピソードが今回の話、みたいな。


ユイ レベル差があるけど大丈夫~?


GM ん、レベル差があっても不自然にならないようなシナリオ案はいくつかあるから大丈夫。


ユイ おー、つまり本格的なキャンペーンにしていく感じ?


GM 明確にキャンペーンっていうより、そのときそのときで、予定が合ったメンバーで遊んで行ければいいかなって感じ。


ユイ そうだねー。なんだかんだみんな愛着湧いたみたいだし、それもありかもね~。


 そんな会話をしつつ、シナリオがスタートした。



 鉄道の都キングスフォールには、都内をぐるりと一周する環城線があり、魔動列車がグランドターミナル駅を出発してグルグルと回っている。


 そんなグランドターミナル駅のすぐそばにある、駅前大広場。この広場では毎日3回の青空市が開かれ、露天が立ち並ぶ。


 ユイとスイートピーは、散歩がてら、その青空市へとやって来ていた。


GM という感じで、導入はユイとスイートピーが依頼のない日を楽しんでいるところから始めようかなって。


ユイ いいよー。たしか駅前大広場って、硬貨を投げこむと幸運に恵まれるみたいな噴水があったよね~。


GM よく覚えてるね。そうそう、噴水が作るトンネルのなかを小さな魔動列車が走っていて、その貨物車に後ろを向いた状態でガメル硬貨を投げこむことができれば、列車が幸運を運んできて願いが叶う。


ユイ それならふたりでそのコイン投げに挑戦しようかな~。「スィーちゃん、一緒に“銭投げ”しよー」


GM なんか意味変わってない? スイートピーがどんどん変な言葉を覚えていくなぁ。


スイートピー 「ゼニナゲ……? それってなぁに?」


ユイ 「うん、見ててね~。こうやって後ろを向いて――えいや!」って硬貨を投げて貨物車に入れるよ~。


GM じゃあ判定しようか。冒険者レベル+器用度ボーナスで。


ユイ えー、冒険者なんだからそのくらい余裕じゃない? 


GM それは言い過ぎだと思う。目標値は9ね、技能を持たない素人だと難しいくらい。


ユイ ちぇー。(コロコロ)ん、13。高くもなく低くもなく、かな~?


GM おー、いいね。じゃあユイの投げた硬貨は背中に目でもあるんじゃないかってくらい正確に貨物車に入る。


スイートピー 「うわー、ユイお姉ちゃんすごい!」


GM そんなふうに目をキラキラさせてユイのことを見ているスイートピー。


ユイ かわいいな~。「次はスィーちゃんの番だよー」と言いつつ、フェローって決まった行動以外はできないんだよね~。ここはお遊び演出だし、気にしなくていいと思うけど。


GM もともとの能力値は決定してあるから、今回は特別にそっちのほうを参照しようか。判定に失敗したらスイートピーちゃんが泣いちゃう感じで。


ユイ すぐそうやって曇らせにいこうとするー。


GM ナンノコトカワカラナイデスネ……(コロコロ)ん、出目6だから達成値10でギリギリ成功だね。


 スイートピーはぎゅっと目をつむると、「えいっ……!」と自分を鼓舞するように声を上げて、後ろに向かって硬貨を投げる。


 その硬貨は放物線を描きながら、貨物車へと落ちる。


ユイ 「スィーちゃんおめでと~! しっかり入ったよ~!」って、思わず頭をなでなでしちゃうかなー。


スイートピー 「やったやったー!」


 別に、残念だなんて思ってないですよ?


GM と、そんなふうにキミたちが楽しんでいると、「あ、あのぅ、すみません! ちょっとお話! いいですか!」という声がかけられる。


ユイ お、来たかな? 声のほうに振り向くよー。


GM そこにいたのはフード付きのポンチョを着た女の子だね。フードを被っていてわかりづらいけど、特徴的な見た目からアルヴって気づいてもいいよ。


ユイ アルヴは蛮族と勘違いされがちだか、隠してるのかなー? でもそこには触れないかな~。「どうしたの? アタシたちに何か用ー?」って明るく聞くよー。


GM その女の子は「あのあの、アイドルを目指している冒険者のユイさん……です、よね?」と、上目遣いで尋ねてくる。


ユイ 「そうだよ~」って嬉しそうに言いながら、ついに認知され始めたかーと喜んでる。


GM ちょ、ちょろい……。


ユイ そこはシナリオに協力的って言ってほしいな~?


GM アッハイ。ともあれユイの言葉を聞いた女の子は、勇気を出すようにぐっと一歩距離を詰めて口を開く。「あのあの、私、ユイさんに依頼があるんです! その、報酬はほとんど出せないんですけど……」


ユイ PL的にはわかってるけど、キャラ的には「ん? 依頼?」って、きょとんとした表情で聞き返すかな~。


GM じゃあそんなユイに対して、緊張で声を震わせながらも、しっかりと目を見つめて、女の子は再び口を開く。


少女 「わ、私に、アイドルとしての心得を教えてください!」


ユイ 「うん、いいよー!」


GM えっ、即答?


ユイ ん? 何かダメだったー?


GM いや、報酬はほとんど出せないって言ってるし、ギルド通さず直接依頼する時点で怪しいけど大丈夫?


ユイ 普段ならそうするんだけどね~。でもこのパターンはユイなら即答しちゃうかなー。かわいい女の子で、しかもアイドルの心得を教えてくれーってなると、頼みを引き受けないとかありえないよねーって感じ。


GM そ、そっか……。


 ユイのなかの人なら裏取りをするだろうというPL読みだったのだが、今回はずいぶんとPC視点にロールプレイを寄せているらしい。


GM え、じゃあギルドに行くとか、女の子について調べるとかもしない感じ?

ユイ たまにはそういうのもいいよね~。それともしたほうがいいー?


 ここでGMのアドリブ魂に火がついた。気分は「やってやろうじゃねぇか!」である。グッバイ、シナリオ。


GM いや、大丈夫。ただそうだね、ちょっと休憩入れようか。10分くらい。


ユイ あはは、10分で大丈夫?


GM 大丈夫!


 こうして、当初予定していた流れを変えてセッションを再開することになるのだった。……平常運転だなぁ(白目)。

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