第3話

 階段を上がるってすぐ右。

 

 あった。

 

 ドア前には可愛い文字で『零華』と書かれたプレートが付けられている。

 

 ここでま間違いない。

 

 一つ左のドアには『百華』と書いてあるプレートがある。

 隣は姉の部屋か。

 

 部屋の中に入ると一番に天蓋付きのベットが目に入る。

 これで寝たらどれだけ気持ちいいのだろう。

 いかんいかん。魔性のベットに吸い込まれるところだった。


 周りを見ると気になるのがベット反対側の机。

 そこには何とも近未来感溢れるゲーミングPCとモニターセットがあった。

 

 彼女もゲームするんだなー。

 なんて思いつつせっかくなので電源をつけてみる。

 

 起動画面のパスワードを解いてホームを開く。

 

 「ん…………?」

 

 自然にパスワードを解いてしまった。

 いつもの感覚で、さも当然のように。

 

 身体が覚えてるのか?

 不思議な感覚だが正直都合がいい。


 この身体で過ごすには初めてのことが多すぎるし、その都度悩んでいても仕方がない。

 こうやって覚えてる所は従った方がいいのかもな。

 

 新たな発見に浮かれていた心を落ち着かせる。

 そういえばスマホも付けなかったな。

パスワードが分からないからどうしようかと思っていた所だ。

 ポケットから取り出して感覚でパスワードどをうつと、

 

 「開いた……」

 

 半分諦めかけていたスマホの解錠。

 現代人はスマホなしでは生きずらいほどに頼っている。そう言う私も前世でお世話になったものだ。

 

 母さんなら言えば対処してくれるだろうが、さっきの事もあるしできるだけ迷惑を掛け内容にしよう。

 流石に1人じゃ対処できないことは流石に協力を要請するが、基本的には出来ることは1人でした方がこの身体に慣れると言う意味でも頑張ろう。


「うぅ、眠い………」


 自分の部屋で安心したのか急に眠気が襲ってきた。

 仕方ない、魔性のベットちゃんて眠るとしよう。



「零ちゃん、お風呂沸いたわよ」


「……ぅん?わかった〜」


どうやらお風呂タイムらしい。

 まだ重いまぶたを擦りながら母さんに手を引かれてお風呂に向かう。


さすが豪邸、脱衣所もでかいなぁ。

 待てよ。風呂に入るという事は全裸という事。


「べ、別に興味なんてねえしぃ〜」


まあ、確認しないわけにはいかないよね!

一気に服を脱ぐ。

 えい!!!


「…………普通だ」

 

 普通なのだ。

 全然興奮しない。

もちろん綺麗な肌だし、胸もある(小さいが)。


まさか、体が慣れている、だと!


此処でデメリットとして出てまうか!


はぁ、体洗お。


おぉ。気持ちーなー。

大きいお風呂は最高だな。


ふとよぎってしまった。

身体が慣れ出るって事はまさか、恋愛対象は男!?


「嫌々ないない絶対に」


流石にそこだけは譲れないな。

 いくら前世と訣別したって恋愛対象は譲らんぞ。

男としての意地ってもんがあるんだよ。



意地はお風呂上がりのパジャマに負けた。

準備されてたんだ、仕方ないだろ………

 







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