TS転生したけど、まぁ楽しく生きるよ。
Ub
第1話
はぁ……辛いな。
何かがずれている感覚。
私は小さいころから何故か友達、いや、話し相手すらいなかった。
努力はしたと思う。だが、話が合わないのだ。
一時期ネットゲームにハマったこともあった。
ネット上なら友達もできるだろうという期待もあったのかもしれない。
勇気を出してゲームチャットをしてみた。だが、期待は期待でしかない。
結局はあいまいになって終わる。
ただ友達が欲しかっただけなのに。
現実にもネットにも自分の望むものはないのだと実感した。
暗い部屋で毎日毎日、明日を待つ日々。
それを心配してかお母さんは今波に乗ってるVtuberの新しい事務所の新人募集に私たちを応募したらしい。
なんでも私のゲームプレイを録画していたらしく、それを送ったらしい。
一次通過はしたが、面接で緊張して何も喋れなくなり、あっさり落ちてしまった。
家族以外の人と話したのは何年ぶりだったろうか……
新しいことに挑戦する事は楽しいし、お母さんの気持ちは嬉しかった。
いつも支えてくれるお母さんや姉には感謝している。
だが、もう笑えなのだ。
私の気持ちは変わらなかった。
今の時代、ホームセンターに行けば安く手に入れられる道具で簡単に人は死ねる。
人て弱いなぁ。いや、弱いのは私か……
(あぁ、誰かが変わってくれたらいいのになぁ……)
静かに雨降る日。
私はこの世界からこぼれ落ちる。
最後に駆け寄ってくる人影が見えたのは気のせいだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「俺は……………………だれだ」
まずは落ち着いて状況を整理してみよう。
えっと確か、明日から春休みということで早めに学校が終わった。
下校中、特に車にひかれたとか変わった事は無くゆっくりゲームができると思いウキウキ気分で家に帰った。
椅子に座ると急に眠くなったので目を閉じた。
それが思い出せる最後にして唯一の記憶。
俺の名前や元いた場所の名前はなど細かい記憶は元から無かったかのように全て消えていた。
今は病室のベットの上。謎だ……
それにさっきから気になることがある……
なんだこの長い髪!?それになんだか胸が重い気が…………
まさか………うん。あるな
下は……ない。
上がある時点で予想はしてた。これは、あれだ?TSと言う奴だ。
こんな事想像の世界だけだと思ってた。
こういう系の小説は読んだことがあるけど、まさか自分の身に起きるなんて………。
だが、意外にも不安や違和感がない。
かけたピースがはまった感じとでもいうのだろうか。
すっきりしている自分がいる。
後ろの名前プレートを見る
「
おそらくこの体の持ち主の名前か?
どうしてこうなっているんだ?
何で病院にいるだろう?
情報が少なすぎて憶測が飛び交ってしまう。
「若月さん。はいりますよ?」
どうやら看護師さんが来たらしい。
「は、はい」
看護師さんの顔を見ると、なんか少し怒っているような、心配しているような。
「若月さん、目が覚めたんだね。よかったぁー。それよりあなた何を考えているの‼もう少し遅れていたら死ぬところだったのよ!!」
「え、それはど、どういうことですか?」
急に死ぬところだっただなんて、零華さんは何をしたんだ……
「覚えてないの⁉……これで自分の顔を見てください」
そういって看護師さんが鏡を取り出す。
きれいな顔だ。
最初に浮かんだのはその言葉だった。
肌は雪のように白く、真夜中のような黒髪。
顔が見えないほどに長いが、それでも病室のカーテンから透ける僅かな光に反射して独特な美しいさを放つ。
髪を退けると細く切長の青黒い瞳がこちらを見ていた。
日本人離れした顔だなと思ったが外国人とのハーフだとは。
女の子にこの言葉は合わないかもしれないが、凄くかっこよかった。
だが看護師さんに自分の顔を褒める言葉なんて言えるはずなく。
「ちゅ、中性的な顔ですね…」
「………」
あ、間違ったかな~。
でも、さ。そうじゃん。事実じゃん。
顔だけを見たら女の子と断定するのは自信がない。
それほど彼女の顔は整った中性的な顔だ。
「本気で言ってる?」
やばい、怒ってるかも。
で、でも急に顔を見ろって言われても……
「……若月さん、自分の名前わる?」
「わ、若月零華です。」
プレートに書いてあるし、この部屋は一人部屋だからあってるはず。
「両親の名前は?」
知るわけないじゃん。って言いたい。
「………」
「あなた、記憶…ある?」
あるにはあるんです。
でも「俺の記憶では、たしか男だったんです」なんて言えるはずないよ。
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