Bメロ

「あ、ジョナちゃん、おはよう!昨日はしんどそうだったけど、もう大丈夫?」

「…うん。もう大丈夫だよ。ありがとう」

「良かった〜。倒れたのって、寝不足だったから?」

「うん。徹夜でテスト勉強してたから。気にしないでね」

「そっか。…でもちゃんと寝てね?」

「うん」


 …体が重い。やっぱり病院に行ったほうがいいかな?でもこの前行ったばっかりだし…。薬もまだあるし、次の定期検査のときでいいかな。






 倦怠感で気分まで下がる、最悪な金曜日だった…。ようやく授業が終わり、帰路につこうとする。


「おおーい、ジョナサン。元気か?」

「あ…白夜君…。もうだいぶマシになったよ。ありがとうね」

「無理すんなよ。家まで送ろうか?」

「ううん。一人で帰れると思う」

「病人が気を使わなくていい。送ってくわ。家どこ?」

「…ここから3駅先のところ」

「そっか。案外俺の家から近いな。ちょっと待ってろ。家からチャリ取ってくるから乗ってけ」

「…うん。ありがとう」


 …え?という事は私、白夜君の自転車に一緒に乗るの?それって、道路交通法57条2項に反してるから2万円以下の罰金を取られるかも…。じゃなくて付き合ってるみたいで恥ずかしいんだけど…。


「おまたせ。じゃあ行くか」

「…なんか恥ずかしい…」

「た、体調悪いんだからしゃーねーだろっ!」


 また耳が赤くなってる…。白夜君面白いな…。






「家、この辺か?」

「うん。その先の家」

「そっか」


 もう終わっちゃう…。いきなり自転車に乗せてくれたのはびっくりしたけど、私に気を使って運転してくれたおかげで、乗ってて楽だったな。白夜君、本当に優しかった…。


「ほら、着いたぞ」

「ありがとう」

「あぁ。じゃあまたな」

「うん。ばいばい」





 …あと2日、白夜君に会えないのか…寂しいな…。もっとお話ししたかったな…。


 もしかして、これって…恋なのかな…。この前友達になったばっかりなのにな…。分からない、分からないけど、白夜君の事が頭から離れない。どうしよう…。流石に迷惑、だよね…。


 やっぱり、自分の気持ちに嘘はつきたくない。やらなかった事で後悔はしたくない。白夜君の事を好きだと思う気持ちが強いなら、告白しちゃおうと思う。結果、振られちゃってもいい。好きだと伝えられないよりはマシだもん。





 クッキーでも焼こうかな?白夜君が甘いものを好むかは分からない。けど、思いは伝わると思う。美味しくなるように、気持ちを込めて。


 チョコは好きかな?…私はそんな事すらすら知らない。自分でも早まり過ぎてる気はしてる。


 でも、やり残したくはないの。出来る事、したい事は出来る限りしておきたい。高校生らしく恋愛もしたかった。私にとっての初恋の人。思いだけでも伝えたい。


 たくさんの気持ちを込めて作ったクッキーの味は、とっても甘く、でも、少しだけ焦げた苦味がした。

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