いつか来た道、これから征く道

 どうも、こんばんは! おはようからおやすみまで、皆様本当にお疲れ様です。

 紆余曲折がありまして、拙作『HERO IN THE HeLaw!(仮)』は、8月31日締め切りのファンタジア文庫へ応募することとなりました。ファンタジアなら、オールジャンルのラノベを受け付けてるので安心です。因みに、初めて自分が公募したのもファンタジア文庫で、その時は一次選考落ちでした。

 もう十年以上も前の話ですけどね。




 あ、さて……ロボットモノは昨今、衰退したジャンルと言われています。

 これは正確な表現ではないと、自分は常々思ってきました。

 ただ、業界に短期間ですが居てみた結果『ロボットモノは出版社や編集者が関わりたがらないジャンル』であることは、これは理解しました。そうでない方も沢山いると思いますが、出版業界の中では少数派でしょうね。そうした編集者に巡り合えるか、そしてその人と一緒に編集長や編集会議を突破できるか、それくらい大変なジャンルになってます。


 ロボットモノが作り手側から衰退しつつある原因は、複数あります。

 まず、日本の経済が基本的に不景気なこと、出版業界が不況で『若者の読書離れ』みたいなことをのたまってることが原因の一つです。

 実際、読書する若者は増えてるんですけどね。

 今の若い子、スマホで電子書籍を読むだけで、読書の総量はむしろ微増でしょう。

 しかし、読み手に対して書き手(売り手)が供給過多なので、出版社はどうしても安全策、ようするに『一部のジャンルに見られる売れ線、売れた作品の類似作』の出版を優先してしまいます。

 そして、小説媒体で大きなヒット作が少ないロボットモノは、選択肢に入ってこないんですね。


 今、業界全体が冒険を嫌う傾向があって、できれば異世界転生ファンタジー等の無難な作品で儲けていきたいと思ってます。残念ですが、日本の不景気は編集部や出版社のせいではありませんし、企業として損失やコストをカットしてゆく体質は当然のことです。

 ですが、それでは類似品の縮小再生産が繰り返されるばかりです。

 そして、縮小再生産を繰り返したことで衰退した、とあるジャンルを自分は知っています。




 そう、かつてロボットモノはなやかりし頃、縮小再生産のサイクルは始まっていました。

 ゲームや漫画、アニメで『ガンダムっぽいもの』みたいな、既存のコンテンツをなぞるだけで、換骨奪胎できていない作品が氾濫していた時代があります。

 それでも、そこそこ売れていたのは、時代がバブリーだったからです。

 勿論、挑戦心にあふれた作品も多々ありました。

 その一つが機動戦士ガンダムだった訳で、ガンダムフォロワーな作品が世にあふれていたんです。そして、経済的に上向きだった時代は、それらも十分に売れました。


 ただ、日本全体が不景気になった今、いわゆる『ガンダムみたいなもの』ではもう、商品として成立しません。もう何度もダシを取られて、完全にダシガラみたいになってしまったのがガンダムですから。

 それでも、ガンダムシリーズ自体はジャンルの中で常に新しい契機を迎え、作られ続けています。また、新規でオリジナルの、目新しいロボットモノも増えています。


 ですが、今はラノベを買う青少年のお小遣い、自分で使えるお金も減っています。昔は雑に面白そうなものをガンガン買ってた子供たちが、今は買う本を絞り込んでいかねばなりません。しかも、無料で読める小説が無数にあるwebの環境や、それを維持するスマホの毎月の代金なんかもライバルになってくる訳です。

 そういう環境下で更に、異世界転生や悪役令嬢、ファンタジーやラブコメを差し置いて買われなければいけない……どうでしょう、結構ハードモードじゃないですか?




 予言します。

 あと数年で、異世界転生というジャンルそのものが陳腐化するかもしれません。

 ロボットモノは既に何十年も前に、ただロボットモノであるだけで売れた時代を終わらせています。自分で『ただのロボットモノ』しか作ってこなかったから、衰退したんです。

 異世界転生モノにはまだ、今は若さと勢いがあります。

 まだまだ、ジャンル内でのブレイクスルーも期待できるかもしれません。

 であれば、ロボットモノを書く側も、それに倣っていかねばなりません。


 以前も言いましたが、ロボ要素×NOTロボ要素が大事です。

 全く新しいロボ要素や、緻密に積み上げたロボ要素オンリーの作品では、分が悪い。書くなとは言いませんが、元からハードモードの世界で、ベリーハードモードに自分で突っ込むには覚悟がいりますね。

 こればかりはもう、自分から言えることが少なくて申し訳ない。

 ロボモノの書き方なんて、教わってハイそーですかとそのまま書く、そういう人はここにはいないと思うんですよね。書きたいロボがあるから、書いている。必要なのは手引きや敷かれた線路ではない訳で、ちょっと背を押すような話があれば十分な筈です。




 クリエイター側で定期的に起こる自然現象、それが『縮小再生産』です。これは、コンテンツが商業目的で生み出されている場合、稀によく起こります。もう、自然現象としか言えないくらい、勝手に気付けば起こっている事象です。

 売れた作品に『売れる要素』や『売れるためのストーリーライン』を見出し、それに沿って『売れた作品に似た作品を作ることで、大きく商業的に失敗することを回避する』というのが、縮小再生産の生まれる要因です。

 商売である以上、楽して売りたいし、損はしたくないのです。

 しかし、ちゃんと『売れた作品の分析と換骨奪胎』ができていないと、ただのデットコピーができあがります。景気がいい時は、それでもボチボチ売れるんですけどね(笑)


 好きな作品があって、リスペクトを感じて、似たような作品を書くのは、これはいいことです。しかし、あなたはその作品に『あなたの作品でしか味わえない喜び、楽しみ』を一緒に入れねばなりません。他の作品ではありえないロボ要素×NOTロボ要素の組み合わせや、ロボ要素、NOTロボ要素に画期的なオリジナリティがなくてはいけません。

 難しいんですよ、だから…だから、ハードモードなんです。

 そして、ロボ要素もNOTロボ要素も、それ自体は個々ではお約束の王道、いわゆる安心感のある流れをも内包していなければなりません。

 いやー、難しい!

 でも、なんで書いちゃうんでしょうね、ロボ。

 そらもう、好きだからなんでしょうけど。

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