第49話 納品と王都の屋敷

あれから2週間が過ぎ服が出来たとローレンス商会より連絡が有った。


此れでやっと裸族達が服を着る事に為るな。本当に良かったよ。


数日後、ロザリンドさんが自宅にやって来た。




其々綺麗なドレスとワンピースのような服と水着を持っていた。


みんな水着まで作ったのか・・・


ワンピースは普段着だろうなぁ、ドレスはパーティー用かな?


どちらにしても、必ず何か服は着る様にと話をした。


 「ケミン様、ウエディングドレスとタキシードの方は、4月の初旬に出来ますわ、其の頃は王都にいらっしゃるでしょうから王都の屋敷の方に納品します」


ロザリンドさんは、そう言うと屋敷を後にした。






服を着る事に為ったのは良かったのだが、ヘディとカトレアはいつも水着になった。


何も着けないよりは良いけどね・・・家の中を水着でウロウロされるのも・・・


ラーニャとフリーゼは相変わらずのビキニで「ちゃんと着てるにゃ!」と一蹴されてしまったよ・・・ガクン




そのほかの奥さん達は、きちんとファッションを楽しんでるな。


然し、吃驚したのはキュリアがチャイナ服を着ていた事が有った。そんな服が有る事すら知らなかったよ。




赤いシルク生地に白いバラの柄が散りばめられて入ったチャイナ服でかなり綺麗だ。腰までスリットが、入っていてセクシーでもあるな。体にぴったりフィットしているのでことさら胸も強調されてるし・・・


スリットから覗く其れは左右でリボン結びされている・・・紐パンかよ・・・




「キュリアさんチャイナ服なんて持ってたのか、そんな服が有ったのね」


 「うふふ、セクシーでしょう?割と気に入ってるのよ此れ」


キュリアは見せびらかすように回転したり頭に手を当ててセクシーポーズを決めたりしてる。あはん♡とか言いそうだ。




「うんうん、キュリアは綺麗でセクシーだよ」 


 「うふふ、ありがとう、今度の夜の順番の時にこれを着てあげるわ♡そうそうベルだって変わった服もってるわよ。ベルも着て見せてあげなさいよ」




 「もうキュリアは強引だよねぇ・・・」


ベルはそう言いながら渋々着替えてきて、恥ずかしそうにしていた。




「ベルさん、其れってセーラー服・・・」


 「うん・・・僕16歳だったけど引籠りで着た事無かったから、着てみたいと思って作ったんだよ。似合うかな?」


ベルは一回りして見せた。白いセーラー服に赤いリボンのネクタイ、グレーのプリーツスカートの丈は膝上10㎝、紺色のハイソックス、何処からどう見ても女子高生だな・・・




「可愛いな!そうか女子高生と同じ年齢だったのか・・・え?じゃーもしかしてやばいの俺?」


俺は焦った・・・これって案件だよね?お巡りさんに捕まるやつだよね?




 「ばか・・・この世界は15歳で成人だから大丈夫だけど、て言うか、僕この世界に生まれて4000年近いんだけど!ケミン君よりずっとお姉さんだよ!」




「成程、其れなら大丈夫なのか・・・4000歳って事?」


 「歳で言うなー!」


パッカー――ンとスリッパでベルに殴られた。ベルもスリッパ出すようになったな・・・ガクン












そんな他愛もない日々は過ぎ2月に為ろうとしていた。


クララに明後日王都に行くと通信してもらう。王都に着いたら王城に来て欲しいと返信が有った。




次の日、俺達は自宅を出発しジェンナーの街の屋敷に入る。


今回はちゃんと本を持ってきている。4月の結婚式までは王都だから何も出来ない。そんな余暇の時間を埋めるのは、やっぱり本だよねぇ。


そして次の日の朝にはジェンナーを出発する。今日は俺に運転させてもらう。


街の外までは低速で航行する。


「さあ全速出すよー!ケミンいっきまーーす!」




スロットル全開にして前進する。運転席から見る景色も最高だった。森の中では木が凄いスピードで後ろに流れていく、正面からの風も強風に近い。風防が無かったら飛ばされるかもしれない。


しかし気持ちいのだ。思わず笑いが込み上げてくる。


「あはははははは。スゲーーー!きもちいいーー!スピード最高!」




森を抜けると直ぐに穀倉地帯が見えてくる。その中をモーターボートで走る。


麦畑が揺れているのが見えた。疎らに家も見える。時おり王都からジェンナーに向かう船とすれ違う。


かなり離れてすれ違うので波の影響は受けないだろうが、マストのない船が高速で航行するのを見て驚いている。




王都に近付くと船の数が増えてくるのでまた低速に戻しゆっくり進んでいく。王城の船着き場に着くとジョイスティックを操作し微速で船着き場に接岸した。


「楽しかったよラヴォージェ!俺でも操作できたよ!」


 「ケミン様は呑み込みが早いですからな、それに自分でも運転できるように作られたのでしょう?」




「そうだけどね、エナジー流すだけにしたのは良かったね。ジョイスティックを左右に倒すだけで舵が切れるのも良いな。作ってよかったよこのシステム」


そんな話をしているうちに奥さん達は、船から降りていた。俺とラヴォージェも降りていく。




 「ケミンそうとう楽しそうだったじゃない」


「うんうん、楽しかったよ!今度湖まで行って走らせてこようかな!みんなで一緒に行こうか」


 「そうね!みんな水着も作ったし一緒にバカンスも良いわよねぇ」


「せっかく王都に来たんだから湖で遊ばないのは無いよね!」


そんな話を歩きながらしていると城門に着く。門番に到着を告げると案内の者が来ると言うので控室で待つ事に為った。




暫く待っていると来たのはなんと国王様と宰相のドルトンさんだった。


 「ケミン様、待ちきれないので儂自ら来ましたのじゃ。ふぉふぉふぉ」


国王様が楽しそうに笑う。


 「ケミン様お久しぶりで御座います。お元気そうで何よりで御座います」


ドルトンさんは相変わらず硬い、かなり真面目な人なんだろうなぁ。


「国王様自ら御越しとは有難う御座います。」


 「ケミン様に会えるのは楽しみなんですじゃ、それでは早速屋敷に案内しますのじゃ」


国王様自ら案内してくれるようだ。危険とかは無いの?大丈夫なんだろうか?


 「ふぉふぉふぉ、護衛もおりますしの。それにすぐ近くですから大丈夫ですじゃ」




確かに直ぐ近くだった・・・


王城の隣に城壁に囲まれたぽつんと一軒家・・・


もとい小さなお城の様な建物が立ってる。ルーブル美術館を小さくしたような建物だった。


コの字型に建てられた建物は、石造りの外観で屋根の上には彫刻が飾ってある、柱にも彫刻や装飾が施されており沢山の窓とバルコニーが有る。何部屋あるのか想像もつかない。




中庭には噴水が有り周りにベンチも有る地面は石畳で正面門からまっすぐ伸びており噴水の脇を進み建物の入り口に到着する。




建物の中に入ると巨大なホールが有り、派手な装飾の室内だった。コレジャナイ感が満載なんだが・・・


勿論、メイドさん達や執事さん達が揃って出迎えてくれた。ぱっと見で50名くらいだろうか・・・


もう開いた口が塞がらないよ・・・


何とか気を取り直すと言った。


「国王様これだと王宮と変わらないような気がしますが・・・」


 「ふぉふぉふぉ、ケミン様に不自由な思いをさせたくないのですじゃ。この者達は、選び抜かれた精鋭達ですから安心して仕事が任せられますぞ」


「はぁ、解りました。有難う御座います」


 「其れと今日は、歓迎の晩餐会を準備して有りますのじゃ、王宮にと言いたい所ですが、ケミン様は嫌がりそうですから此方に準備して有りますのじゃ、ふぉふぉふぉ」


国王様は悪戯成功!みたいな顔をしているよ・・・




そんなこんなで晩餐会が開かれ王都での生活がスタートするのであった

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