第2話 はじめまして神様

瞑想のため、まぶたが光を遮ったと思ったら、何故か俺は眩しいほどの光の中にいた。


眩しさに目を閉じようとしても、瞼も体の感覚すらも感じられない。

自分の意識だけがそこにあった。


そこでふと、この状況に陥る前のことを思い出す。

(これはもしや神の神託!?)


突然の不可思議な出来事も神によるものであれば説明がつくだろう。

(となれば、神と交信することが出来るのか!)


神の姿は見えず、目に入るのは光のみ。

そんな中、声を発そうと思いつくもそれをするための口も今は無い。


理解不能なものを人間は恐れるとはよく言うが、この状況が何なのか、何をすればいいのかが分からずに困惑していた。

そんな時にソレは来た。


<はじめまして人間>

その声はそれほど大きな声ではなかったが、焦っていた俺にもはっきりと聞こえる威厳のある声だった。


(は、はじめまして!)

声を聞いただけで、自分が話している相手が神であるとはっきりと理解ができた。


体があれば土下座か五体投地をしていただろう。


<熱心に呼ぶものがあると思い、此れも一興と答えてみたが何用だ?>


その声は機械の様に感情の感じさせないもので、自分の様なちっぽけな人間がここで何を言おうが関係ないのでは?と思わせるものだった。


しかし、この機を逃すのは惜しいのだ。

この時のために、俺はひたすら2年もの間祈り続けて来たのだから。


(願うが、ございます)

やっとのこと言葉を絞り出す。

沈黙はこの場に限っては金ではないだろう。


(神は魔法と呼ばれるものを存じていますか?)


自分自身も魔法を詳しく分かっていない。

何故そんなものが有るのか?

この力は神から与えられたものなのか?

この質問で、魔法とは何なのかを知りたかった。


<魔法に対する陳情か?申してみろ>


(図々しいことは承知の上ですが、魔法の力を与えていただきたいのです。)

神が魔法を作られたのなら、その力を与えていただくことも出来るだろう。


しかし、要求したからとほいほい貰えるとも思っていない。

でも、言わなければ何も得られない。なら言うしかないのだ。


<ほう、人間よ。ぬしはどのような力を望む?>


(俺が望むのは…)

俺はみんなから好かれたかった。チヤホヤされたいと言う願望をずっと持っていた。

だから、モテたいと…


でもこうして神に会って、神の威厳というものを感じた時、その威というものも羨ましくなってしまった。


(俺は人を魅力と威厳が得られる魔法が欲しいです!)

俺の望みは、みんなに恐れられながらも好かれるようなそんな魔法だ!


<そうか。言われずとも知っていた。お前の願望も、お前がみられていないと思っているその思考もな>


俺の魂の叫びを聞いて、帰ってきた答えに急激に頭を冷やされる。


今まで普通に、念話の様に頭の中で語りかければ通じるよく有るパターンだと思って会話していた。


それがただ俺の思考全てを見ていたのだとやっとここで気づいた。


<何故私がお前をここに呼んだと思っている?>


雲行きが怪しくなってきて混乱する俺に問いがかかる。


(えー、私の願いに応えてくれたのかと?)


<お前の強欲が目にあまるから、神罰を与えるためだ。お前の居場所は現世うつしよではなく地獄だよ>


その言葉が聞こえるや否や見えていた光は消えてしまった






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