ねえ、聞いてくれる?

風羽

第1話 スーパームーン 皆既月食

 月が山の中から昇ってくるのを、たまたま見た事はあったけれど、月の出を待って見た事はなかった。

 たぶん、あの山から昇ってくるはず。

 一番大きく見えるのは昇ってきたばかりの月のはず。もしかしたら、ピンク色かも。


 今日はスーパームーン。

 そして皆既月食。


 日が延びた。まだ太陽が沈んでからそれ程時間は経っていなくて、外はまだ明るい。

 ウグイス、ヒバリ、ホトトギス、カッコウも鳴いている。

 月が昇ってきそうな所には薄雲がかかっているけど大丈夫かな?


 暗闇が少しずつ押し寄せてきて、鳥達の声がカエルの合唱に変わる。

「グェグェグェグェ」

 雲も厚みを増してきた。

 もう、出てるよね〜。四十分位ずっと待ってるんですけど‥‥‥

 きっと雲の中。


 書きたかったな。月の出の様子。

 寒くなってきたので一旦引き上げる。


 二十時頃、再び外へ。

 月を探す。

 薄っすらと、薄っすらと見える光。

 もう、とっても細くなっている。

「私はここにいますよ〜」

 雲とのせめぎ合い。

 よかった。

 ちゃんとしっかり見えるより、何か嬉しいよ。


 皆既食の間は見えないね。あの赤い影が見たかったのだけど、雲の中では分からない。

 皆既食が終わり、月が満ちて来るのを待っているよ。再び現れてくれるかな?


 二十時半。

 ここにいるよね、と思って見ればポワンと光が灯ってる。そんな感じ。

 隠れる前と同じ側が光ってる。逆側から光り出すんじゃないんだね。

 ほぼ真上には北斗七星。上の方は晴れているのにな。

 フクロウが一声、鳴いたような気がした。気がしただけかも?


 月の位置が少しずつ上がって、家の窓から見えるようになった。相変わらず雲に邪魔されているけれど、少しずつ太くなっているのは分かる。


 二十一時半を過ぎて、随分太ってぼんやりとした月がやたら大きいんですけど。

 これぞ、スーパームーン! 

 どこかで獣の声がする。ちょっと怖い感じ。

 二十二時。まんまるお月さんに戻った(はず)。ぼんやりしすぎてよく分からない。


 月が満ちたり欠けたりするだけなのに、どうして心は躍るのかな?

 蛙の合唱は続いている。

 明日は雨予報。

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