第29話:空襲警報鳴り止マズ

 既にガーナカタル南部から目視で確認できる位置まで迫った米爆撃機編隊、それを殲滅せんと果敢に食らい付く日輪軍機と密集陣形コンバット・ボックスで応戦する米爆撃機の熾烈な空中戦が繰り広げられていた。


 米爆撃機B17編隊は当初の150機から既に50機以上を失い焦りが出始めている、護衛である海軍の戦闘機に至っては全滅していた。


『ちぃ! 弾が切れやがった!』

『ワシもだ! ちと無駄玉を撃ち過ぎたかのぉ、カカカ!』

『私も弾切れが近いですね……』

『よし、俺と斎藤以外は一度補給に戻れ、但し基地では無く大和に着艦しろ!』

『僕はまだいけます!』

『駄目だ戻れ、被弾しているだろう? これは命令だ!』

『了解です……』


 毛利の指示で織田、武田、上杉、立花の機は機首を反転させ大和を目指す。


 本来で有れば着艦の面倒な大和では無く、基地で補給を受ければ良いのであるが、このままの進行速度だと補給中に爆撃を受ける危険性が有るため大和に戻らせたのであった。


 やや進んだ所で立花達の前方に30機程の編隊が目視出来た、方角から友軍機で有る事が立花達には分かるが、向こうからは分らない可能性が有る為、先頭を行く上杉機が機体の翼を振る。


 すると前方の編隊の隊長機が其れに答えて翼を振ると両編隊は擦れ違い其々の目的地に向けて飛び去って行く。


 立花達と擦れ違ったのは飛鷹と隼鷹から出撃した零戦部隊であった。


 ただ、今迄の零戦とは機体の色が違った、機体上半分が暗緑色で機体下部は今まで通りの明灰白色となっており機首先端は黒く塗られている。 


 是はラウバル等の基地航空隊が上空から目立たなくする為に独自に施した迷彩を今年から軍が正式採用したもので、以降の基地航空隊の軍用機はこの塗装が使われる予定となっている。


 ・

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『隊長、さっき擦れ違った機体、あれ零戦ですかね? 少し違っている様に思えましたが』

『さぁてな、零戦には色々な派生型が有るから恐らくその一つだろう、……この三型の様に零戦の持ち味を殺した設計で無ければ良いがな……』


 隊長と呼ばれた操縦士は言葉の後半を自嘲気味に小声で呟いた。


 彼らの駆る零式艦上戦闘機三型は火力と多少の・・・防弾性能向上と引き換えに速度と加速力、そして運動性能を犠牲にした設計で有った。


 それでもF4Fよりは上なのだが軽快な運動性能を好む熟練搭乗員には重く感じる様であり、持ち味を犠牲にした三型はかなり不評で有った。


『だが、大空の要塞相手ならこいつの30㎜機関砲がモノを言うかも知れん、試してみるとしようか!』


 B17編隊を目視で確認した隊長機はそう言い放つが早いか猛然とB17編隊に襲い掛かる、それに僚機29機も続く。


 張り巡らされた弾幕を掻い潜り零戦三型の30㎜機関砲が火を噴くと数撃でB17の推進機が吹き飛び其の衝撃で主翼が砕ける。 


『《何だとぉオーマイガ!? 一撃でB17の推進機が爆散したと言うのかっ!?》』


 推進機が爆発し主翼が折れ墜落していく僚機を真近で目の当たりにした編隊司令官『カーティラス・ルメイ』少将は突如現れた緑色の零戦の火力に愕然としていた。


『《くそシットっ! マッカーサーめ、何が『極東の矮小で臆病な猿・・・・・・・にはB17は落とせない』だ、話が違うでは無いか!》』 


 湧き上がる焦燥感を抑える事が出来ず声を張り上げるルメイ少将の口から出たマッカーサーとは、南西太平洋域総司令官『ドナルド・マッカーサー』陸軍大将である。


 開戦時はフィルピリンのマニル軍管区司令官で有ったが、日輪軍に敗れ現在は豪州東部沿岸都市ブリスベルの一角に連合軍南西太平洋域司令部を構え其処から指揮を執っている。


 B17の大編隊による強襲爆撃である本作戦『ラッシュ・アワー作戦』を立案した張本人で有るが、白人至上主義者で有り、自身がフィルピリンを追われた際、日輪人に負けた事を認めず、日輪軍機に乗っているのはゲルマニア人に違いないと喚いたと言う。


 そんな偏見に満ちた人物の立案した作戦にルメイ少将が乗り気であったのは彼自身もまた白人至上主義者で有ったからだ。 


 然し彼らが『極東の猿』と侮った日輪人は合衆国空軍(所属は陸軍)を翻弄し威勢を誇った大空の要塞も既に半数近くが撃墜されていた。 


 このままでは例え爆撃が成功しても生きて帰る事は出来ないのではないか、いやそもそも爆撃を行う前に全滅するのではないか、その焦燥感に駆られたルメイ少将は堪らず海軍に支援要請を出すが、『善処する』と言う後ろ向きな発言に憤慨しただけであった。



====米海軍第六支援機動艦隊・護衛空母インディペンデンス艦内航空機格納庫ハンガーデッキ====



「《此処に居たのかマクガーレン少尉》」

「《Mr.ベイゼル? 出撃でしょうか?》」

「《……打診はされている、だが悩んでいてね、他の艦から合わせて10機程度が出撃するようだが敵は新型も混じった4,50機の零戦ジークらしい、これは言ってしまえば空軍・・に対する生贄だよ、だから上層部にXF4Uを売り込むチャンスでは有るがリスクも大きい、幸いな事にこの艦は試験機運用艦でXF4Uは試作機だ、其れを理由に断る事も出来るがーー》」

「《行きます! グレイファントムの性能を軍上層部に知らしめるチャンスを見す見す逃す手は有りません!》」

「《……やる気があるのは大変結構、だが50機のジーク相手に機体を無事持ち帰れるかね?》」

「《危険と判断した場合速やかに撤退します、グレイファントムの機動力で有れば何時でも逃げ切る事が可能ですので機体は無事に持って帰るとお約束します、往かせて下さい!》」


 クリスは真剣な表情で溌剌と答え、ベイゼルは顎に手を当て思案すると、クリスを見据え口を開く。


「《……良いだろう、君の言葉と技量を信じよう、征きたまえ》」


 その言葉を受けクリスは敬礼で返し、颯爽と愛機に向かって歩き出す。


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 一方、大和の格納庫では収容された立花と武田の機体が補給を受けていた。


 先に着艦した立花と武田の機体が後続の織田達の妨げになる為格納庫に降ろされたのである。


 その為上杉と織田の機体は飛行甲板で補給と軽い整備を受け、既に飛び立っている。


 立花機は外装が被弾損傷している為、溶接バーナーの様な形状の修理器具を当てられ修理を受けている。


 これは高濃度の蒼粒子を吹き付ける器具であり、それを当てられた部位に蜂の巣の様な模様が浮かび上がり其れが増殖する形で損傷部位が修復されている。


 その様子を開け放たれた風防から立花と島津が心配そうに伺っていた。


「……すぐ直りそうですか?」

「ああ、瑞雲の頑丈さに感謝するんだな、零戦だったら間違いなく墜ちてたぞ」

「っ!? 次は被弾しない様に精進します……」

「敵の機銃の口径にも気を付けな、こいつは12㎜だから耐えられたが、20㎜だったら操縦席周りでも貫通するぜ」


 気難し気な年配の整備員は修理器具で塞いだ穴を念入りに確認しながら言葉を発する。


「了解です……」


「カカカッ! 新型3機を一人で撃墜した割には謙虚だなぁ!」


 突如腹に響く大きな声が格納庫内に響き渡る、然し整備員達は慣れているようで気にした様子も無く作業を続けているが、立花は声に反応し隣に駐機されている僚機に目を向け口を開く。


「武田さん……別にそんな、敵の虚を付けただけですし、隊長と斎藤さんが周囲のF4Fのらねこを引き付けてくれたから出来た事です……」

「カカカッ! 謙遜するな立花! ワシは正直お前を見くびっていた、だがお前は間違いなく撃墜王の素質が有る! 慢心はいかんが誇りは持て!」


「っ!? 武田さん……有り難うございます!」

「うむ! では一足先に空で待っているぞ!」


 そう言うと武田は快活な笑顔をうかべ握った拳を立花に向けた後、風防を閉め出撃して行った。


「……良かったな蒼士」

「うん……うん!」


 島津の言葉に立花は何度も頷き俯くとその膝の上に涙が滴り落ちていた。



 一方でガーナカタル山脈上空にて零戦三型の部隊はその火力で順調にB17を撃墜していた、最早進むも退くも壊滅は避けられないルメイ少将は覚悟を決め日輪軍に一矢報いる為に突き進むしか道は無くなっていた。 

 

『《残りは何機だ?》』

『《恐らく60機程と思われます……》』

『《チッ! 日輪ジャップめ、やってくれる、だがこのままでは終わらんぞ!!》』


 席から立ち上がり前のめりの姿勢で前方を睨みつけるルメイ少将の表情は焦燥感に駆られ狼狽しているが、淀んだ眼光は鋭く既に肉眼で目視できる日輪飛行場旧アンダーソンを睨みつけている。


『拙いぞ、この山脈を超えられたらルング基地だ、一機でも多く撃墜しなければ基地が……っ!』

『残弾数にも気を配れ、弾が切れたら最悪体当たりしてでもーー』


 決死の覚悟でB17を阻止せんとする零戦三型の隊員達であったが突如、周囲の航空機搭乗員達は耳に違和感を感じる、何だこれは、皆が嫌な悪寒を感じたその時、何かが一機の零戦の側を駆け抜けた瞬間、その機は爆散し次の瞬間周囲の航空機は衝撃波を受け何らかの推進音を耳にする。


『な、何だぁ!?』

『戦闘機だっ! 衝撃波の後に推進音……! あいつ、音速を超えているのかっ!?』


 それは紛れも無く戦闘機で有った、灰色のその機体は急上昇と同時に翼を広げ事も無げにインメルマンターンを決めると此方に向かって来る、其れは灰色の幻影グレイファントム、XF4Uで在った。


『《貴方達に恨みは無いけれど、シヴァ党への怨嗟を晴らす為に、この機体XF4Uの生贄となって貰うわっ!!》』


 鋭い眼光で叫ぶクリス、機体を一気に加速させ零戦に迫りトリガーを引くと数発の乾いた射撃音と同時に日輪機の翼が砕け錐揉みしながら落下していく。


『くそぉっ! は、早い!』

『相手は一機だ、包囲すればーー』

『だ、駄目だぁ! 三型の運動性能じゃこいつはーーうわぁぁああああ!!』


 たった一機の灰色の機体グレイファントムによって先程まで圧倒的優勢を誇っていた深緑の零戦が次々と撃墜されていく……。


 零戦ニ型は全て弾切れで基地に補給に戻っている、だが仮に二型がこの場に居たとしても練度の低い搭乗員の駆る機体は灰色の機体グレイファントムの餌食になっていただけであろう。


 この異変に毛利と斎藤も敵視を灰色の機体グレイファントムに向ける。


『また新型かっ! 熟練搭乗員の乗る新型零戦がああも容易く落とされるとは……っ!』

『それもたった一機で……!? 鬼畜共が馬鹿にしてぇっ!!』 


 憎悪の籠った声で叫ぶと同時に斎藤機がグレイファントムに向けて猛然と突進する。


『おい、斎藤ーーああ全くあいつは……っ!』


 毛利は一瞬斎藤を咎め様とするが直ぐに無駄だと諦め彼女に合わせる事にし機体を加速させ斎藤機を追う。


『鬼畜米帝の尖兵め、墜ちろぉおおおお!!』


 斎藤が鋭い眼光でグレイファントムを照準に捉え咆哮しながら引き金を引く。


 乾いた発砲音が響くが同時にグレイファントムは急上昇し斎藤の放った銃弾は敵を捉える事なく蒼空の彼方に消えて行った。


『貰った!』


 その軌道を予測していた毛利の銃弾が急上昇中のグレイファントムに向けて放たれる。


 然しグレイファントムは機体をロールさせ其れを回避してみせた。


 そして翼を広げ機首を毛利機に向けると即座に銃撃を行って来る。


『ちぃっ! 児玉ーー』

『よーそろっ!!』


 刹那、毛利の叫びと同時に副操縦士の児玉が阿吽の呼吸で機敏に手足を動かし応えると毛利機から増槽が投棄され同時に下部推進機が稼働し其の軌道を力づく変えグレイファントムの銃撃は投棄された増槽に命中し爆散する。


『くっ! 何とか躱したか、機体に損傷は……』

『確認出来る限り有りません!』 


『《へぇワォ! やるじゃないアメイジング!》』


 爆風の中風を切り裂き旋回するクリスは口角を上げそう言ったが、そのは全く笑っておらず余裕の笑みと言う訳では無かった。 


『麻美、増槽を投棄して!』

『りょ、了解です!』


 その時、斎藤機が増槽を投棄し猛然とグレイファントムに迫る。


『今度こそ、墜としてやるっ!!』


 斎藤が鋭い眼光に憎悪を宿しグレイファントムに向けて射撃するが不規則な軌道を描くグレイファントムには当たらない。


 更に横から毛利機も攻撃に加わるが圧倒的な速度差を前に空しく空を切る。


 その時B17の腹部が開き、次々と爆弾がルング基地に投下され始めた。


『くぅっ!! よくもぉっ!!』

『道子さんっ!!』

『しまっーー!!』


 爆撃に気を取られた斎藤は一瞬グレイファントムから目線を切ってしまい、その隙を突きグレイファントムは斎藤機の後ろを取る、それに気付いた副操縦士の塩屋が叫ぶが手遅れで有った……。


 数発の射撃音と同時に斎藤機の機体表面に穴が開いて行き、そして推進機が吹き飛んだ。


『 『きゃぁあああああああああっ!!』 』

『斎藤、塩屋脱出しろぉっ!!』


 無線機から響く斎藤と塩屋の悲鳴に毛利が叫ぶ、しかし斎藤機が脱出装置を起動させる様子は無い。


『だ、大丈夫ですっ! このまま滑走路に着陸させてみせます!!』

『馬鹿な事を言うな! 其れに滑走路は爆撃を受けている、落下傘で脱出しろ、これは命令ーーくっ!!』


 余りに無謀な発言をする斎藤を毛利は叱責するも、グレイファントムの攻撃を受け何とか躱すが通信する余裕は無くなっていた。


 そうする間にも斎藤機はどんどん高度を下げる、それでも墜落では無く何とか飛行の体を保っていられるのは下部噴進機にて塩屋が調整しているからであった。


 滑走路は目視できるが所々爆炎に包まれ視界が塞がれている上に滑走路上には数機の零戦ニ型の残骸が見えた。


 補給に戻り飛び立つ前に爆撃を受け破壊された基地航空隊の成れの果てである。


『麻美、下部噴進機格納の頃合いタイミングは貴女に任せるわ!』

『は、はいぃっ! お、お任せ下さいぃ!』


 既に数百㍍に迫る地面に塩屋は恐怖に顔を引き攣らせ吐き出す言葉はうわずっており、とてもお任せ出来る様には見えない……。


 然しどう喚こうが高度は無情に下がって行く。


 斎藤は機体を水平に保つ事に集中し、塩谷は噴進機格納の頃合いタイミングを測る。


 なにせ現在斎藤機は滑空しながら進んでるだけで有り下部噴進機で揚力の不足を補っている状態なのだ。


 格納が早ければ機体が落下し墜落、遅ければ噴進機が滑走路に接触し機体が爆散する可能性が有る。


 どんどん高度が落ちる中、斎藤が車輪を出し着陸に備える。


 このままの進路を維持出来れば無事着陸出来る、斎藤がそう安堵した次の瞬間、前方に爆弾が着弾し爆発する。


『そんな……っ⁉︎』


 斎藤機はどうする事も出来ず爆炎の中に飛び込んでしまい視界が奪われる。


『ひ、ひぃっ!』


 塩谷は今にも泣き出しそうな……いや既に泣き出していた……。


 然もあろう、本来瑞雲は通常着陸する時には下部噴進機は使わない。


 若し噴進機が滑走路に接触して破損すれば最悪機体ごと爆散するからだ、あくまで下部噴進機は垂直着陸(艦)用の装備なのだ。


 だからこそ恐怖に負けて下部噴進機を格納してしまった塩谷を責められはしない。


 例え揚力補助を失って余計な重量が車輪に掛かり折れてしまったとしても……。


『きゃぁああああっ!!』

『ひぃいいいいいっ!!』


 前輪が折れ機首を滑走路に擦り付け火花を散らしながら爆炎から飛び出た斎藤機は大破した零戦二型の残骸に激突するとスピンしながら滑走路脇の格納庫に突っ込んだ。


 格納庫の扉と壁の一部、そして屈折部から千切れた瑞雲の左翼が宙を舞い周囲に飛び散った……。


 後には突っ込んで来た斎藤機のクッションとなり大破した九七艦攻とボロボロに破損した瑞雲が絡み合っている。


「う……くっ! あ、麻美、大丈夫?」

「は、はいぃ……。 な、何とか生きてますぅ……。』


 斎藤は真剣な表情で塩谷を気遣うが当の塩谷は表情を崩し目を回している……。


「おい! アンタ等大丈夫か? 此処は危険だ、直ぐに第八防空壕に避難しろ!」


 斎藤機の事故を見て滑走路で消化作業に当たっていた整備員数名が駆け付けて来た様だ。


「……この惨状でよく無事だったな……」


 機体が絡み合って大破している状況を見て整備員の一人が半ば呆れ気味に言う。


「くそっ! 鬼畜共に一矢報いる事も出来ない何て……何て不甲斐無いの、私は……っ!!」

「道子さん……」


 計器に拳を思い切り叩きつけ言葉を吐き出す斎藤、その瞳には怒りと涙が浮かんでいた……。


 その後、斎藤達は整備員に救助されるが、未だ爆弾が降り注ぎ、空襲警報は止んでいなかった。 





 ~~登場兵器解説~~



◆B17-MkⅣフライングフォートレス


 最大速度:800㌔   


 加速性能:30秒(0キロ~最大速到達時間) 


 防御性能:B 


 搭乗員:24名 


 武装:12㎜機銃×18


 搭載能力:12000kg


 動力:WR1820-97BWフォトンエンジン


 推進機:4発・WR1820-17BWフォトンスラスター


 航続距離:3600km


 特性:無し


 概要:コメリア合衆国のウォーウィング社が開発した大型戦略爆撃機、本来はB17のみが正式名称で有り空飛ぶ要塞フライングフォートレスは愛称に過ぎなかったが、強固な防弾性能と対空性能故にその名があまりにも相応しかった為、いつしか正式名称となった経緯を持つ。


 太平洋戦線に投入されているのはMk-Ⅳで有り、欧州戦線のMk-Ⅰに比べて航続距離と搭載量が1,3倍、機銃座数が12機から18機に増設され強化されており、日輪軍からも大空たいくうの要塞として恐れられている(但し開戦後は『でかぶつ』の蔑称で呼ばれる事が多い)

 


◆零式艦上戦闘機三型


 最大速度:820㌔   


 加速性能:13秒(0キロ~最大速到達時間) 


 防御性能:D 


 搭乗員:1名 


 武装:30㎜機関砲×2


 動力:栄三型蒼燐発動機


 推進機:単発・四菱三型蒼燐噴進機


 航続距離:1600km+1000km(増漕)


 特性:艦上運用可


 概要:日輪帝国の四菱重工が開発した零戦ニ型の派生機の一つ、ミッドラン海戦での敗北や戦闘の経過によって熟練搭乗員が損耗した結果、搭乗員の練度に依存していた零戦の優位は失われ未熟な搭乗員では零戦の特性を生かせず損耗が著しくなっていた、そこで開発されたのが火力と防御力を向上させ新兵の生存率を上げた設計で有る本機で有った。


 然し基本的な性能スペックは二型と大して変わらない為、向上させた火力と防御力は最大速度や運動性能と加速力を引き換えにしたもので有り、其れは零戦の最大の持ち味を殺す結果に繋がってしまった。


 其の為、熟練搭乗員にはかなり不評な機体となってしまったが、開発陣の目論見通り新兵には扱いやすいと評判になっている。

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