ザ・経歴ドラフト【SW2.5リプレイ】

成亜

0:やるぞ! 経歴ドラフト

 某月某日。神の与えし黄金週間が終わりを迎えようとしている頃。

 GMは悩んでいた。


 企画が思いつかない!


 リプレイコンテスト用にセッションしたいけど、折角の単発卓なんだから普通にやるんじゃつまらない。何か企画モノをやってこそでしょう、と思うんだけど……。


 種族統一? ネタ被りしそうだよなぁ。

 技能統一? ライダーあたりならバランス取れそう……だけど、インパクトに欠けるよなぁ。

 戦慄のトリプルクラウン? これ単発だぞ。


 そんな様子を普段キャンペーンでセッションしているコミュニティに垂れ流したところ、こんな反応があった。


「やはり経歴ドラフト……」


 それだ。

 ここで言うドラフトとは、野球というよりもカードゲームのもの。

 すなわち、全員がカードパックから一枚を選んで隣の人に渡す、受け取ったパックからまた1枚抜いて渡す……を繰り返してデッキにすることを言う。

 このカードを設定、イコール経歴表や冒険に出た理由表の中身にしてしまおうというアイディアだ。

 なるほど、これは面白いものが見れそうだ。ついでにキャラシを発表した時点で企画の9割は終わってるのでシナリオが適当でも許されゲフンゲフン。


 オリジナルの経歴を混ぜていいことにして予想のできない幅を広げよう。

 作成レベルも影響しそうだな、ちょっと高めに7~8レベル作成としようか。(参照:基本ルールブックIII p72)

 舞台は個性が強いとこがいいかな。となると、女性の権力が強いアルショニア女王国がちょうどいい。


 フフフ、こんな感じのレギュレーションで行こう。面白くなってきたぞ?


 集まったの総勢5名のプレイヤーたち。いずれも長期キャンペーンを共にしたことのある“戦友”たちだ。

 彼らには3つの「経歴」を用意してもらった。そこに数合わせの2つをGMが用意してドラフトを行う。なんで3つだけなのかって? 募集要項にそう書いた時点では何人になるかわからなかったから……


GM:というわけで、経歴も揃ったし個別チャットでパックを回してくよ~

プレイヤーA:これ5個中3個選ぶのでいいのかな

プレイヤーB:あ、そっか、3つでデッキを組むのか

GM:まあ全部活かしてもいいし、無理があるなら3つに絞っていい。

プレイヤーC:これドラフトと設定組んでるのが一番面白いんじゃないの?

GM:そうだよ


 なにも否定できない。何しろ、シナリオはキャラを見てからそれに合わせる形で考えるのだ。このセッションの面白さは君たちにかかっている。


プレイヤーD:ランダムシャッフルとかじゃなくて本当にドラフトするんだな……

プレイヤーE:どれどれ? えーっと……誰だよこの経歴書いたやつ!? どう扱えばいいんだよ!?

GM:あ、ちなみに最後に自分のパックで残った一枚が最終的に手元に戻ってくるように回してます。GM用意のやつが残るかもしれないけどね。

プレイヤーC:やっべー、あれ残るかもしれない。


 そんなこんなでワイワイガヤガヤ、ドラフトを終了した一同。


プレイヤーC:あっ、『神になる』残ったわ

プレイヤーD:自業自得だろ!


 Cさんは過去、キャンペーンキャラの冒険に出た理由表で『神になる』を引いたことがある人。しかし、この設定にその時のGMもCさん本人も頭を悩まされたことがあり、めちゃくちゃ扱いにくい設定として印象深いのだ。何故入れたし。


プレイヤーE:いやこれ面白いな~、定期的にやりたいかも

プレイヤーB:普段自分じゃ書かない設定を選べるので面白いね。

GM:それじゃあ、引いた経歴を元にしつつキャラシ作ってね


 果たして、どんなキャラが揃うのか……戦々恐々である。


プレイヤーA:あ、Lv7~8作成だから二つ名付けてってもいい?

GM:ええよ。……うん?


 わざわざ聞かれるの、嫌な予感がする。

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