第12話 殴られた私

 それからその不細工な奴隷が目を覚ますまで私は家事とかやりつつも怪我の具合や包帯の取り替え、身体を拭くのはヴァンサンに任せたりした。


「大丈夫?オレリー。疲れたんじゃない?休んでていいよ?」


「大丈夫だよ!ヴァンサンこそ仕事があるでしょう?私はいいからいいから!頑丈なブスだから!」

 と笑うとヴァンサンは


「そんなことないよ。人間なんだから疲れるよ。あんまり無理しないでよ…。俺オレリーが倒れたら…心配するよ」

 と天然イケメンが頭をわしわしと撫でる。


「ありがとう!ヴァンサン!とりあえず平気だからっ!!」

 と言うとヴァンサンは流石に仕事に戻った。

 さて!私も水でも汲んでくるかな。

 と井戸でバケツに水を汲み戻ってくる。桶に水を入れ替え洗濯した布と奴隷の額の布を取り替えた。すると奴隷が目を開けた。


「あ、気付いた?」

 と言うと私を凝視し、青くなりそして…


 ボカーン!!

 と思い切り私を殴り私は衝撃で脳がぐらりとしてパターンと倒れた!!

 いて…いてえよ…。

 口の中切れた?血の味がする。


「ばっ、化け物おおおおお!!!」

 と叫ばれ側にあった花瓶を割り奴隷が破片を持ち立ち上がってこちらにやってくる。


「化け物め!!こ、殺す!!」

 と言い近づく。

 ひ、ひいいい!?化物じゃなくブスだ!落ち着け!!うわ、これ…ここで奴隷に刺されてブス死す!?

 奴隷は破片を振り上げて私に向かい襲いかかってきた。

 しかしそこでヴァンサンが入ってきて奴隷に飛びかかり止めた。ヴァンサンは我を失っとる奴隷に腕を破片で刺されたがとりあえず奴隷の腹を怪我してない手でドスンと重い一撃を食らわせたら奴隷は気絶してビクビク魚みたいになっていた。


「ヴァンサン!!平気!?血が!破片突き刺さったままだよ!!」

 それにヴァンサンが近付いて私の頰に手を当てた。


「オレリーこそ大丈夫なの!?凄く腫れてる!!口から血も出てる!!」

 と私を心配したが腕に破片まだ突き刺さっとるで!!


「私なら大丈夫だよ!痛いけど…」


「俺もこんなの平気だ!」

 と破片を引き抜くとビシャっと血が出て初めてヴァンサンは


「わっ!!痛いっ!!凄い痛い!!」

 と痛そうな顔した!

 今かよ!!遅いよっ!!

 私はヴァンサンの腕を治療し包帯を巻いた。


「オレリー、君も手当てを!」


「私後でいいよ大丈夫だよ!ヴァンサンのが酷い!」


「そんな…」

 ヴァンサンは泣いた。


「俺なんかより…オレリー…もっと自分を大切にしなよ…」

 と言う。そしてちょっとギュッとされた。

 ふおおおお!ヴァンサン!こんなブス抱きしめちゃあかんて!鼻血だすよ!!

 グズグスとヴァンサンは私を心配して泣いたので背中をポンポンとしてやる。


「はいはい、大丈夫ですよ。落ち着きなよ。私は死んだりしないよ…」

 と言い、とりあえず自分も頰に手を当てたり口を濯いで血を出した。


「お医者呼ぶ?」


「ううん、こいつがバレたら咎められるからいいよ。こいつは危険だからとりあえず縛っとこう」


「了解」

 また起きて暴れられたら困る。さっきはきっと私みたいなブスを化物と間違えて恐怖でパニックになっただけだろう。


 しばらくはヴァンサンに代わってもらった。


 しかし…ブスが余計にブスになってしまった。

 腫れた顔を姿見で見たら酷いもんだわ。左頰は赤くぷっくり腫れてご飯も粥を食うのさえ痛くて染みるんだから。


 するとヴァンサンが


「あいつ起きたよ。事情を説明して落ち着いたからオレリーに謝罪したいって…」


「あ…そう…」

 とそろりと入って行くとそいつの顔がパンパンだ。


「あ…ごめん。ムカついたから先に殴っておいたんだ」

 とヴァンサンが言う。

 私より腫れ上がってんよ…ヴァンサン。

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