百鬼夜行~妖怪と魔物を率いる者~

llaruma

妖怪・異世界へ行く

戦国時代、とある山にある村


「おい! あっちへ行ったぞ!」

村人達は、ぼろぼろの刀や農耕で使う道具、村の自治している侍は弓や刀を持って山の奥に走ってく妖怪を追っていた


 妖怪・ぬらりひょん、のらりくらりと民家に突然現れれば、飯などを食べて消えていくと、ちょっと迷惑とした妖怪だ


「いやぁ、あかんなぁ、村長の家はあかんかったかぁ」


 まさか村長の家に巫女がいるとは思わんやん、本来なら家に入れば俺の妖術で、勝手にもてなしてくれて、さよならってできたのに、入ったら妖術封じの結界張っとるし、逃げ出そうにも二重結界発動してすぐに出れんかったし、出れた頃には村長の家は侍達に囲まれてた


「生まれて200年1番やばい家に入ったかもな」


 城ならまだしも普通の民家に結界張ってあるて、凄すぎだろあの村長の家。 てか、巫女なのにあの白装束の格好で山をよく走れるな。 山姥やまんばのばあさんもびっくりするほどの走りっぷりだぞ


「絶対逃がすな! いけ! 黒丸・赤丸!」

巫女が札を空中へ投げるとそこから、かまいたちが現れた


かまいたちは、直線上にいる俺に途中の木々を切り倒しながら真っ直ぐ向かってきた

かまいたちには、両腕に腕1本分の長さの鋭利な刃がある。その切れ味は、個体差があるがこの辺の木ぐらいなら容易に切れる


 「おいおい、式神も扱えたのかよ、あの姉ちゃん。てか、なんだよ、その名前ださいだろ」


あの巫女の姉ちゃんまだ20そこらなのに、あの強さの式神を扱えるの中々優秀な巫女なんだろうな。 どっかの有名な陰陽師か祈祷師の一族か


「おい、そこの妖怪!」


向かってきた、かまいたちの1匹が話しかけてきた


「お前も妖怪だろ」


「うるさい! 大人しくご主人様にやられなよ!」


よお、喋るな。 そっか本来かまいたちは、陽気な性格なやつが多いんだっけ、めんどくさいな


でも、これなら聞いてみたいことには答えてくれそうだな


「あんたのご主人様は、そんなすごいやつなのか」


 「知らないのか!? うちのご主人様の名前は、安倍鈴音(あべのすずね)、平安時代に活躍した、かの有名な安倍晴明(あべのせいめい)様の末裔になる者だぞ」


 安倍晴明か、親父から聞いたことあるな。 平安京というとこでとてつもなく強い陰陽師がいて、その陰陽師に挑んだ数多(あまた)の妖怪が倒されるか式神にされて、その陰陽師に近づく妖怪はいなくなった、その陰陽師の名前が安倍晴明なんだっけな


「その末裔って言うんだから、そのお嬢様は強いんだろう...」


背後から音も立てずに現れたもう1匹のかまいたちに一刀両断された


しかし、切られたはずのぬらりひょんは影になって消えた


「なっ...!」


完璧に不意をついたと思ったかまいたちは、驚きのあまり声をもらした


だまし絵って言うんだ。 面白いろ」


再び俺は姿を現した。 いくら話に夢中になってるからって周囲の警戒は解いてない保険は常にかけるようにしてる。 とはいえ、ここから逃げ切るのは結構きついな、なんか方法考えないとか


走りづづけていると、途中で石階段がある道へ出た


「石階段、この大きさ何かある神社だな」


ちょっと祭られているものにかけてみるか


神社・社は、戦没者を供養されている神社・社や疫病を止めさせるため、災害を止めさせるため、用途は様々だが、それに供える物に法具や呪術など素人に扱えない物を備えてる場合が多い


俺は方向を変えて神社の階段を駆け上がった


「神社の方に行くぞ!!」


「あそこはまずいんじゃないか!?」


「絶対に追いつけ!」


村人達は慌ててぬらりひょんを追いかける


かまいたちや村人、侍も後に続いて階段を上っていく


階段を駆け上がっていくと、そこには小さい神社があった


「なんだ、あの妖気の濃さは」


ただの神社ではない一見小さそうな神社だが、祭られているものは、ただの物じゃない。 この妖気の濃さからして呪物だが、その辺の妖怪の素材から作った物じゃないな、強い妖怪の死体から作った物だ


呪物は妖怪の年齢や妖力の大きさなど様々なものが要因として呪物の強さが決まる


「とんでもない神社を引き当てたかもな」


こんな小さな村に、有名な陰陽師の末裔がいたのと関係ありそうだな。 理由を考えている暇はないな、あの呪物を使ってみるか


俺が向かっていくのと同時に、村人たちも追いついてきた


「あなた達!! 道を開けなさい!!」


後ろから若い女性の声が聞こえる。この声からして巫女だろう


「巫女様!!」


「みんな気をつけろ! 巻き込まれるぞ!」


村人達は道を開けて、俺と一直線上に道を開けた。巫女は持ってた弓を構えた。 矢に白い光が集まり、呪文を唱えていく


「精霊よ私に風の力を、精霊弓術(せいれいきゅうじゅつ)・神風(しんぷう)の矢」


風を切る音を鳴らしながら、一直線上に俺に向かっていく



「妖力の正体は、これか!」


俺は神社にある建物の中から妖力が濃かった物を取り出した。それは、箱に入っており札にくるまれていた。 妖怪の俺では取り出せないものだ


「なんだこれ取り出せないな...」


風を切る音が聞こえ振り向くと光に包まれた矢がこっちに向かって飛んでくる。 避けきれないと察し俺は持っている物を矢の盾にした


矢が箱に刺さると、矢に込められた呪力と箱にくるまれてた札の呪力がぶつかり合って、札の呪力が消し飛んだ。 その衝撃で箱が開き中から鏡が出てきた


「鏡...?」


俺は、その鏡を取ってみると自分の姿を見てみた


その瞬間光に包まれて、俺はその場から消えてしまった


〈解説〉

妖怪の寿命は1000年と呼ばれている。妖怪の200歳は人間で言う20歳だ

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