自縄自縛で苦しみもがく人の呻き

 女子高生のふりをする十九歳の少女が、ゆきずりの相手に体を売ってお小遣いを稼ぐお話。
 一字一句違わずタイトルの通り、本当にそれのみのお話です。日記というのも(日記としての体裁ではないとはいえ、内容的には)ほぼその通り。閉塞感というか行き当たりばったり感というか、作品全体に一本通ったこの〝どうしようもなさ〟がすごい。
 茶番めいた露悪、意図的な他人事感のある独白という、本来胸の裡だけで行われるある種の〝儀式〟。相手の好ましくない部分をあげつらっては殊更にこき下ろす行為と、にもかかわらず、相手の余裕のない一面に限っては嫌悪を抱かず受け止められるところなど、この幼く近視眼的な防御反応の〝ありそう〟感。
 自分を買う連中のろくでもなさと、でも自分がその生き方を選択したこと。本来、一切無関係のはずのそれらを、しかし意図的に混同すること。たったそれだけで保ててしまう程度の矜持しか持てないことの、つまりは子供であるがゆえの苦しみとそのもがきが、もう読んでいて目を背けたくなるほどでした。
 いっそその態度の通りに割り切れたなら、きっと楽だったであろうものを。一体何に憚るのか、己の行為を自分で肯定してやることができない彼女。だからこそそこまで強く〝推し〟を求めるのかな、と、そんなことを思ったお話でした。