淡々とした文体で書かれているけれど、なんだか凄い作品です。

 帰り道にたまたま見てしまった、クラスメイトの奇行。主人公の波多野さんは正義感からそれを見過ごす事が出来ず、生島くんを突き飛ばしてしまいます。
 そのことが切っ掛けとなって、クラスの空気は一変。生島君を虐める流れになってしまう。波多野さんはそんな状況に悩んでいましたが、結局見て見ぬ振りをする結果に。
 小学生にありがちなこの雰囲気。読んでいるだけで心が痛くなります。が、当の生島君は………


 時は流れ、大人になった波多野さんが見たものは。そして、彼女の脳裏に浮かぶのは、あの時の ————


「虫人間」

 哀しくて切ない結末が胸に迫ります。生島君が再び生まれ変われる事を祈ってしまう。そんなお話です。