第49話 パートナー


しばらく幸せを堪能した後、ボクは言う。


「そ、それで、今日はここに泊まるとして、明日からどうするの?」


「そうね……」


お姉ちゃんは少し名残惜しそうにボクから手を離す。


「本来なら、警察に連絡して保護者を探してもらうところなんでしょうけど、今はそうもいかなくてね」


「どうして?」


「これを見てくれる?」


突然、お姉ちゃんの目の前にモニター画面のようなものが出現した。


「え、なにそれ? すごい!」


「これは能力者だけに見えるステータス画面。あなたにも同じものが出せるはずだよ」


「どうやって?」


「頭の中で出ろって思うだけ。簡単だよ」


じゃあ、出ろっ!

と思ったら、本当に出てきた。


うわ、すごい。

まるでゲームみたいだ。


「それでね、この能力者一覧のところをタッチするの」


言われた通りにすると、目の前に6人の顔が現れた。


まずは、ボクとお姉ちゃん。


それから、ちょっと怖そうなおじさんとおばさん。


最後に、ボクより少し年上っぽい女の子と暗い表情のお兄さん。


この二人ずつが枠で囲ってある。

それが何を意味するのかは、さすがに分かる。


さっきお姉ちゃんが言ってた『パートナー』


「この二人一組で何かするの?」


ボクが尋ねると、お姉ちゃんの表情が途端に暗くなった。


「え、もしかしてまずいこと聞いちゃった?」


「ううん。ちょっと言いにくいことだから……。でも、隠してもすぐ分かることだから、言うね」


「う、うん」


「戦争、しなきゃならないの」


「え……? 」


少しの間、頭が混乱した。

でも、ハッキリと聞こえた。


「戦争って、この人たちと?」


「そう。能力者同士で戦って、最後まで生き残った二人が神になる。そういうデスゲームが、もうすぐ始まるの」


「ゲームと言っても、遊びじゃないんだよね?」


「そう。敵は殺さなきゃいけないの」


さっきまでの優しいお姉ちゃんとは別人のような暗い声。


「そ、そんなのおかしいよ。どうして、ボクたちがそんなこと……? いったい誰が決めたの?」


「本物かどうかは分からないけど、主催者は自分のことを『神』と言ってた」


「神様が、そんなことを……?」


「そう。だから、私たちはどこにも逃げることができないの」





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