第38話 女子校に侵入して真面目そうな娘の初めてをいただく

俺は警察署で奪った白バイに乗って自衛隊の基地へと向かう。


遊びたい気持ちをグッと堪えて走り続ける。

途中で見かけた美女にも手は出さない。


さすがの俺も危機感を覚えたということだ。


神様が何のために能力者バトルなんかを開催しているのかは分からない。

だが、俺を楽しませるためではないことだけは確かだ。


遊んでいると殺られる。

実際、一度殺られている。


それに、さっき超長距離射撃で殺られてもおかしくなかった。助かったのは偶然だった。


だから油断はダメだ。

一刻も早く強力な武器を入手しなくてはならない。


……だけど、自衛隊の基地に無事たどり着ける保証もない。

既に敵能力者が基地にいるかもしれない。


そしたら、また殺されるかもしれない。


せっかくこんなすごい能力があるのに、一度も楽しまずに死ぬなんて冗談じゃない。


やっぱり、慌てて基地なんかに行かない方がいいんじゃないのか?

相手の能力によっては銃火器なんて無意味な可能性もあるんだし、危険を犯してまで行くほどか?


じっくり楽しみながら作戦を練った方がいいんじゃないのか?


うん、そうだ。


明日生きてるかどうかも分からない戦争をしてるのに、目の前の楽しみを捨てるなんて愚かだ。


だいたい、この状況下で動ける敵がいたとして、そう簡単に見つかるか?


世界は広いんだぞ。

仮に日本の首都圏に絞ったとしても、今日の今日でばったり遭遇するなんて、どんな確率だよ?


ちくしょう、やっぱ我慢できねえ。

つーか、我慢する必要性を感じねえ。


というわけで、基地に向かうのは中止。

ネットで最寄りの女子校を探し、全速力で突入する。


いるいる。

ヒャッホーイ!

ここはパラダイスだ。


運動場で体操着姿の女子たちが停止している。

今は授業中のようだ。


すぐにでも飛び付きたいところだが、外では世界探偵に監視されているかもしれないので、玄関から校舎内に侵入する。


教室には若い娘たちがびっしり。

これを好き放題できるなんて夢のようなシチュエーションだ。

やっぱ来て良かった!


う~ん、誰にしようかな。

さっき繁華街にいた娘たちは可愛いかったけど、ちょっと派手めだったからな。

どうせなら彼氏がいない清純そうな娘がいいな。

清純なんてもう死語か?

知らねえ。


教室を二つ三つ物色した上で、一番好みの娘を見つける。


よし、この娘で決まりだ。


制服を着崩したり、アクセサリーを着けたり、爪を伸ばしてもいない、とても真面目そうな娘だ。


こんな娘に彼氏なんているはずがない。

というわけで、君の初めては俺がいただくとしよう。


悪く思わないでくれよ。

俺が神様になったら、誰より幸せにしてやるからさ。


俺は上着を脱ぎつつ、目当ての娘に近付いていく。


「待ちな」


「え?」


背後からの声に振り向いた瞬間、俺の脇腹に拳がめり込んできた。


「ぐぼぉ…!」


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