第11章 新町通の違和感【2】

 暗闇の向こうに飛び出した俺は呆気に取られた。高架橋の向こうは、なぜだか真っ昼間だったのだ!

……また白昼夢かよ……

 今度こそは白昼夢抜きでさくらに会えると思っていたのに、期待を裏切られ、俺はガッカリした。

しかし、俺はすぐに違和感を感じた。

「高架橋の向こうが真っ昼間」というシチュエーションはこれまでにもあったが、スポーンされる場所は決まっていつも俺の自宅から数ブロック離れた路地だった。

ところが、今回はそれまでとは全く異なる場所に放り出されたのだ。

……はぁっ!? どこだよ、ここ……

 とりあえず、どこに出たのか確かめようとスマホを取り出して、俺はびっくりした。

スマホのロック画面に表示された日付は今から3日前。さくらが事故に遭ったその日だ。

……完全に白昼夢確定じゃねぇか……

やれやれと思いながらマップアプリを立ち上げて、俺は二度びっくりした。

何と俺が今いるのは、あの日の新町通__正確には、新町通から1本裏の道__だった。

もしかしたら、事故に遭う前にさくらを見つけられるかもしれない。

 俺は急いで事故現場を目指すことにした。


新町通に出た俺は、一目散に事故現場を目指した。あの日の新町通の1本裏に出たとは言え、よりによって始点に近い場所だったことに気付いたのは、通に出てからだった。かくなる上は、何としてでも事故のあった14時よりも前にさくらの元に辿り着いて、事故から守ってやらなければならない。

……待ってろよ、さくら……

俺はペダルを力強く踏み込んだ。

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