第4章 病院にて 【1】

 必死になって自転車を漕ぎ、俺は高空たかぞら市中央病院に辿り着いた。ここまでの移動で脚がパンパンになっているが、休んでいる場合ではない。俺は気力を振り絞ると、病院のエントランスに向かった。


 入り口の自動ドアをくぐった先は、病院のエントランスロビーだった。とりあえずどこに行くべきか検討が付かなかったので、俺はすぐ脇に掲げてられていたフロアマップに目をやった。

……今いる場所は正面玄関から入ってすぐのところらしい。でもって……と目を泳がせていると、「総合案内受付」という文字が目に飛び込んで来た。しかも、ここからすぐそこだ。

……よし、こいつだな!……

検討を付けた俺は、総合案内受付へと向かった。


 総合案内受付の前には、短いものの行列ができていた。ひとまず俺は最後尾へ並んだ。

 5分ほど待ったものの、俺はカウンターの前へと辿り着いた。

「すみません、身内の者がこちらに運ばれたと言われて来たのですけれども、救急科? 救命科? はどちらでしょうか?」俺は尋ねた。

「はい。救急外来は東館の1階となります。場所をご案内しますと……」と、総合案内受付の担当者は、テキパキと救急外来までの道順を説明してくれた。先程のフロアマップを充てにするよりも、格段に分かりやすい。

「……外来受付は突き当たりを右、ですね」俺は道順を復唱した。

「ありがとうございます!」俺は思わず一礼すると、救急外来目指して歩き出した。

……待ってろよ、さくら……

俺は歩く速度を速めた。

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