カタコンベの悪夢 ~悪魔VSエクソシスト~

ヘパ

1話 悪魔VSエクソシスト

 奈月なつきのうそつきー!って、呪いながら、俺は、薄暗いカタコンベの中を、全力疾走してた。



 『かたまってるとこ、敵にみつかったら、やばいから、散らばろう?あっちは、ハンターいないよ。』


って、奈月が言ったから、信用して、俺は、こっちにきたのに!めちゃくちゃ、いるじゃん!


奈月のやつ、俺が、霊感ゼロなのをいいことに、おとりにつかったのか!?



 アポロンちゃん!って、つい、呼びそうになったけど。


アポロンちゃんは、敵側だ!エクソシストチームだったー!


そうだ!チームの勢力を平等にするためって理由で。


バディは、別々のチームって決まりだった!



 ハンター役は、ちゅうを、ただようゴーストだから、あっというまに、囲まれた。


やばい!スカーフとられたら、脱落しちゃう!って、焦ってた時。


カタコンベの中を、ブリザードが吹き抜けて。


ゴーストたちを、はるかかなたへ、吹っ飛ばした。



 ふりかえったら、自分と同じ赤いスカーフ巻いてる小柄な男がいた。



「クロウー!」


そういえば、クロウも、同じ悪魔チームだったっけ。


「たすかった!ありがとー!」って、近寄っていったら、


「ねぇ。ヘパって、ひとり?」って、きかれた。


「それが……。さっきまで、アレスといっしょだったんだけど。いつのまにか、いなくなってて。はぐれちゃったのかな。」


「赤い点が、ふたつあったから、こっちに来てみたんだけどさ。気づいたら、ひとつ、ぜんぜん、違うとこ、移動してるんだよ。確認してみて。」



 言われて、俺も、自分のスマホを見た。


チームメイトの居場所は、スマホで確認できるようになってるんだけど。


赤い点が、謎に、めちゃくちゃ、集中してる場所があった。



「どしたんだろ、これ……。」


「わかんないけど。こんなに、集まってるとこ、エクソシストチームに、みつかったら、悪魔チーム、一瞬で、おわるじゃん。様子、見に行ってみよう?」



 スマホの地図をたよりに進んでいくと。右側の道から、別の赤い点が近づいてくる……。


十字路で合流したら、奈月だった。で、言われたのが。


「ヘパ、生きてたの?」だった。


「目が合った瞬間、言う言葉が、それか!?俺は、奈月を信じてたのに!」


「ごめんね。俺、まだ、脱落したくなかったんだもん……。」


ひどいー!って、叫んでたら。


「やばいから、声、おとして……。」って、奈月に、急に、まじめに言われた。


「あっちに、ゴーストいるから、気づかれちゃう。」


「ほんと……?ぜんぜん、わかんないんだけど……。」



 反魂はんごんの契約で、生き返ってるだけあって。奈月は、異常に、霊感、強いんだよな。


悔しいけど。タイタン族の俺よりも、人間の奈月の方が、よっぽど、頼りになる。



 そんな時、いきなり。


「こんなとこで集まって、なにしとるん?」って、横から、話しかけられた。


クロウが、飛びあがってた。


「びっくりした!……て、トリトン!?」



 え?トリトンの位置情報は、赤い点になってないよ……。


あ!そうだ!アレスが、悪魔チームにいるから、トッティーは、エクソシストなんだ!



 でも、悪魔が3人いるところに、なんで、エクソシスト、ひとりで来たの?


もしかして、なんか、すごい作戦でもあるのか?



 スカーフを奪われないように、身構えてたけど。


トッティーは、俺たちを狩りに来たわけじゃなさそうだった。



 拍子抜ひょうしぬけして、きいちゃった。


「あれ?トッティーって、エクソシストチームだよね……?」


「そうやけど?」って、トッティーは、自分が腕に巻いてる黒いスカーフを。


まるで、とってください!みたいに、わざわざ、俺たちに、見せた。



 ふつう、隠さない?


いとこながら、なに考えてるか、わからん……!



 クロウが言った。


「おまえ……。今、俺たちが、そのスカーフ、奪ったら、脱落だぞ?」


「もう、おなかすいたし。早くハロウィンのごちそう、食べたい。スカーフ、とるなら、とってええよ。ゲーム終われば、すぐ、ハロウィンパーティー、はじまるし。」



 それで、いいのか……。トッティー……。



「あんな。エクソシストが、めちゃくっちゃ集まってる場所があるから。とりあえず、行ってみようと思っとるんやけど、いっしょに来る?」


「え?エクソシストもなの?」って、クロウが、ききかえした。



 「ここやけど。」って、トッティー、クロウに、スマホ、見せちゃってるし。


クロウも、エクソシストチームの地図、のぞきこんじゃってるし。


「いいのかな、あれ……。」って、俺は、奈月と話してた。


位置情報、わざわざ、敵には、非表示になってるのに。居場所、教えちゃうの?


「別に、ルール違反じゃないから、いいんじゃない?」って、奈月も、見ちゃってた。


もう、俺も見るわ!



 黒い点は、赤い点と同じ場所に、集中してた。


エクソシストと悪魔が、同じ場所にいる……ってことは、戦ってるってこと?


でも、さっきから、ひとつも、点が消えてない。


戦ってるなら、脱落者が出てもいいはずなのに……。



 わからん……って、クロウも、眉をひそめてた。


「ていうか。思ってたより、エクソシスト残ってるな……。アザゼルと、プロメテウスは、とりあえず、狩ったけど……。」


「クロウってば、ふたりも狩ったの?」って、奈月に、きかれて。


うんって、クロウは、うなずいてる。


「その代償に、ゼウスが、やられたけどな。」



 うそ。父さん、脱落しちゃったの……?



 そんな感じで、3人で話してたら。


トッティーに、「違う場所で、話そ?」って、言われた。



 気づかなかったけど。右側の壁、一面、人骨だった。


見た瞬間、うおっ!って、悲鳴でた。



 そうだった。カタコンベって、たしか、地下墓地なんだよな。


ここが、ハロウィンのダンジョンになってるわけ、思い出した。

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