墓参

水汲み場に蚊柱

蟻の列を跨いで

先祖代々の墓前

根を断たれた花

おしべから花粉

黒い袖にべたり


許してください

私がこのくにの

助けにならぬを

子の無いことを

風が走り抜ける

線香の灰が散る


すれ違うよその

法事の家族らの

子らはしゃぐ声

笑い声 泣き声

なだめる大人の

呆れたような声


墓場を走るのは

いけませんよと

祖霊が囁くのが

聞こえるようで

ただ俯きながら

靴を前に進める


夕日は真横から

 私の顔を焼く

  振り向けば

   気付かぬ

    ように

     黙る

      寺

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