第2章 東雲さんを看病
第23話 『文乃さんと打ち合わせ』
東雲さんと初デートをしてから1週間が過ぎた。
世間は梅雨入りをしたと、朝のニュースで言っていた。
そのお天気お姉さんの言った通り、今日は雨が降っていた。
あれから、例のアカウントを何度が見たが1枚も写真は投稿されていなかった。あの日に東雲さんから送られてきた写真に写っていたのはどう見ても、例の裏垢のあれと酷似していたが、結局核心には至ってはいなかった。
「さて、そろそろ行くか」
今日は久しぶりに文乃さんとの打ち合わせだった。
「母さん、行ってくる」
「は~い。ちゃんと傘持っていきなさいよ~」
「分かってるよー」
俺は玄関に置いてあるビニール傘を持って外に出た。
文乃さんが指定したカフェに向かう。
打ち合わせ場所は大体いつも文乃さんが決める。どこで調べてくるんだってくらい、いつもオシャレなカフェを指定される。
今日は「スターライト」というカフェを指定された。もう、名前からしてオシャレだ。
地図アプリを使ってそのカフェに向かい待ち合わせ時間10分前に到着した。
「スターライト」は外見からオシャレだった。
まだ来ていないだろうと思いながら、お店の中に入ると、内装も洋風な感じでオシャレだった。そして、文乃さんはすでにいた。俺のことを見つけて手を振っている。
「こっち、こっち~」
久しぶりに見る文乃さんはやっぱり美人だった。ここまで、スーツ姿が似合う女性もそうはいないよな。
「お久しぶりです」
「久しぶり~。元気にしてた~?」
「元気は元気でしたけど、骨は折りました」
冗談めかしてそう言いながら、俺は文乃さんの前に座った。
「えーーー!骨折ったの?」
「はい。もう、治りましたけどね」
「そっかー。ちなみに、足?腕?」
「足です。なので、一応小説は書いてました」
「そんな時くらい、休めばいいのに」
「そんなわけにはいきませんよ。待ってくれてる人がいるので……」
東雲さんとか母さんとか……。
「あら、小説家としての自覚が出てきたのかしら?」
文乃さんはそう言って、嬉しそうに笑った。
はい、美人すぎるーーー。その笑顔は反則では?
俺は思わず目を逸らした。
「どうなんですかね……ただ、最近身近に応援してくれる人がいることを知ったので、頑張ろうって」
「そうなんだ~。その身近な人っていうのは真君の彼女かな?」
「ち、違いますよ!?」
文乃さんはニヤニヤと口角を上げて、俺のことを見てくる。
「な、なんですか、その笑顔!?」
「いや~。とうとう、真君にも春が来たか~と思ってね!」
「もう、その話はいいですって!小説の話をしましょうよ!」
「そうね~。でも、その前にご飯を頼みましょう」
そう言って、文乃さんは俺にお店のメニューを渡してきた。
「好きなもの頼んでね~」
「はい。ありがとうございます」
お互いに好きなものを頼むと、真剣な顔になって小説の話を始めた。
☆☆☆
次回更新14時です!
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